EEE会議(北朝鮮・イラクの核問題と日本外交).......................................................................031008


ASEAN首脳会議出席のため滞在中のインドネシア・バリ島で、10月7日、
小泉首相、中国の温家宝首相、韓国の盧武鉉大統領の3者は会談し、共同宣
言を発表しました。その中で、北朝鮮核問題に関しては、平和的・外交的に解決
することを確認、北朝鮮が核を輸出する動きを見せていることについても、政治的、
外交的、行政的措置を通じて防止していくことを合意しました。

これに対し、北朝鮮は同日、北朝鮮核に絡む協議から日本を排除する動きに
出ました。朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンがこの日、日本
が核問題解決の「障害になっている」と厳しく非難。 「今後、核問題解決のいか
なる場にも、日本が介入することを許さない」との談話を発表しました。特定国を
名指しして協議から排除しようとしたのは今回が初めてで、北がいかに日本の
姿勢にいらだっているかを示すものと思われます。

ところで、北朝鮮が核問題でこれほどまでに執拗に瀬戸際外交を続け、また露骨な
反日的態度をとる背後には、何か魂胆があると思われますが、この点に関しては、
やはり中国が裏で相当糸を引いているからだろうという見方がアジアの外交問題専
門家の間でしばしば聞かれます。 日中韓3者会談に参加し表向き北朝鮮に共同
プレッシャーをかけているように見えるけれども、北朝鮮の実質的な後ろ盾が、中朝
友好協力条約を結ぶ中国しかないことは明らかで、その中国が、今後の対日関係も
考慮して、遠謀深慮の外交を展開しているのだろうという見方です。

そういう目で最近の国際政治状況を見てみますと、例えばイランの核問題について
も、
ロシアは米国の圧力にもかかわらず相変わらず対イラン原子力輸出に熱心ですが、
一方中国もアザデガン油田問題では、米国の横やりで立ち往生の日本を尻目に、
イランとの契約交渉を着々と進めていると伝えられ、あわよくば日本の石油利権を
横取りしようとしていると見られています。要するに、ロシアも中国も自国の利益を
最優先しており、北朝鮮やイランの核問題の解決に本当に真剣に取り組んでいるか
疑問なしとしません。

来週ブッシュ大統領と会談する際、小泉首相が、自衛隊のイラク派遣や戦後復興
資金問題だけでなく、こうした核・エネルギー問題をどう持ち出すか。 ちなみに
新任の中川経済産業大臣は、アザデガン油田問題では対米強硬論を唱えていると
伝えられ、その言動も大いに注目されるところです。彼の亡父、中川一郎氏は亡く
なる直前まで科学技術長長官(兼原子力委員長)として独自のエネルギー外交に
尽力していたことが想起されます。
--KK