EEE会議(石油危機と第4次中東戦争: 核兵器は使用される寸前だった!)...............................031009


今年は、あの歴史的な石油ショック (第1次石油危機)から30周年ですが、その
きっかけとなった第4次中東戦争(Yom Kippur戦争)についてはあまり記憶されてい
ないようです。

この戦争が勃発したのは1973年10月6日で、エジプト・シリア連合軍のイスラエルに
対する奇襲攻撃で始まりました。警戒を怠っていたイスラエルは忽ち窮地に追い込ま
れ、国家存亡の危機感を持ったMoshe Dayan国防相は、一発逆転を狙って核兵器の使
用を計画したところ、Golda Meir首相(女性)が必死になってこれを断念させた。彼
女のこの決断が核戦争の大惨害を回避したのであり、彼女こそ、「核兵器は他の兵器
と異なり、いかなる状況下でも決して使われてはならない兵器だ」ということをはっ
きりさせた功労者である、ということです。戦争自体は、Kissinger米大統領補佐官
の判断で、米軍の空からの攻撃により形勢逆転に成功し、イスラエル軍の勝利に終
わったことは周知のとおり。

これは、Avner Cohen(「イスラエルと核爆弾」の著者)が、近く出版される「イス
ラエルの最後のタブー」("Israel's Last Taboo")という自著の中で明らかにしてい
ることで、この論者によれば、広島、長崎以後核兵器が本当に使用される直前まで
行ったのは2度だけで、一度はケネディ大統領が関係したキューバ・ミサイル危機
(1962年)の時、もう一度がこのYom Kippur戦争の時であった、ということです。 
詳しくはNew York Times(10/6)に載った同氏の"The Last Nuclear Moment"(添付
ファイル)ーー なかなか迫力がありますーーでどうぞ。なお、この論文のことは近
藤駿介氏(東大大学院教授)に教えていただいたものです。
--KK