EEE会議(Re:何故大都会の近くに原発を建設しないのか?).....................................................031017


標記の件につき、松岡 強氏(特別会員、株式会社エナジス社長)からも、次のよう
なメールをいただきました。ご参考まで。
なお、海上原子力発電所のアイディアは以前からしばしば聞きますが、実際にどの程
度実現可能性があるのでしょうか。この構想が中々実現しないのはどういう理由によ
るのでしょうか。とくにメーカー関係のご意見を伺いたいものです。
--KK

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下記ご依頼ありました件に関し、本音の話しとして小生はいつも次のように話してい
ます。

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質問:『何故過疎地にばかり原発を建設するのか』と訊かれて、『東京に立地しない
のは人口密集地を避けるため』と答えたら大問題となった。どう答えるべきか。
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小生の回答:「原子力発電所建設の条件は@広い土地があること、A冷却水があるこ
と、B地盤が固いことの3条件が必要で、一般には大都市は地盤がやわらかくて広い
土地がありません。しかしながら海上立地とすると日本のほとんどの都市で原子力発
電所の立地が可能です。この海上立地についてはかなり検討が進んでいて、技術的
には出来ますし、安全上も陸上炉に劣ることはありませんし、耐震上はむしろ優れて

ます。海上原子力発電は標準設計が出来、大量生産に向いています。周りが鉄板の
船ですので、最初の数基の費用は高くなりますが、それ以降は標準化・工場生産のた
めに品質も上がり安くなります。問題は大都市での反対運動がどうなるかです。国民
から支持して貰えるならば建設は十分可能です。」

  以上が小生の回答ですが、以下に技術検討の補足をしておきます。
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 この海上原子力発電所は、今から20年程前に米国OPS社(ウェスチングハウス
社子会社)で考案され、NRCの建造認可が取れ、8基以上の受注がなされ、大掛かり
な建造工場まで建造されました。当時は非常なブームで皆が熱狂していました。しか

ながら、サイト建設のための安全審査の最終段階で米国の原子力建設ブームが終り
キャンセルされたものです。日本でも検討されています。

この原子力発電所は、海上に防波堤を築き、その中にプラントを浮かべるもので、
100万kw1基の海上発電所の大きさは120m×120m程度で高さは60mぐら
いで、
重量は15〜20万トンです(参考;大型20〜30万トンタンカーは幅90m×長
さ300
m)。この特徴は、外的な要因はすべてこの防波堤で防護するもので、プラントは水

12m〜20mのところに浮かべ、沈没しても大丈夫なように設計されます。

松岡強