EEE会議(Re:何故大都会の近くに原発を建設しないのか?)....................................................031017


標記テーマに関する各氏のコメント及び小生の質問(10/17)に対し、豊田正敏氏から
次のようなメールを
いただきました。ご参考まで。
--KK
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ご質問にお答えします。

原子力発電所の立地は、現在の所、@広大な敷地が必要A耐震設計上強固な岩盤B大
量の冷却水が必要。
益田氏の「サイト周辺の放射線被ばくなどから広大な敷地が必要」という説明は、必
ずしも正確ではなく、軽
水炉の場合、万一の事故の場合にも格納容器により、敷地外に放射能の放出を抑制し
ているが、多重防護の観
点から、さらに、原子炉から敷地境界まで500m程度の離隔距離をとることにしている
ため、広大な敷地が必要
である。

「現行の法令上、原発建設に関する放射線量の設定の仕方に問題があるのであって、
この要件を緩和すれば大
都会に建設することは十分可能だ」との考えは、「放射線量の設定の仕方に問題があ
る」のでもなく、また、
原子力安全の基本である多重防護の考えを無視するものであり、将来もとるべきでは
ないと考える。この点、
核燃料施設とはいえ、JCOの場合、人的管理のみに頼り、離隔距離も無く、敷地周辺
に十分な遮蔽も無いこと
は安全審査上問題であると考える。

送変電費や送電損失を考えれば、需要地の近くに立地するのが望ましいが、都会地の
近くでは岩盤が強固でか
つ、広大な敷地を確保することは難しく、多数の住民の立ち退きを必要とし、不可能
である。首都圏の場合、
出来るだけ需要地に近いところで原子力発電所を立地できないかと検討したことがあ
るが、湘南海岸は、十分
な広さの敷地は確保できず、九十九里浜は軟弱地盤で難しく、静岡県の御前崎以東を
歩いて回ったが、適地は
見つからず、結局、関東以北に立地を求めざるを得ないと考えている。しかし、軟弱
地盤の耐震設計の技術開
発を行い、将来法令上も認められるようになれば、九十九里浜の立地が可能になるこ
とを期待している。な
お、「東京に地下発電所を建設すべきである。」との考えについては、技術的には可
能であるが、軟弱地盤で
ある上に、地下発電所といえども原子炉からの離隔距離を考えないで、付近住民の理
解が得られるとは考えら
れない。

また、品川氏のご意見は、傾聴すべき点が多々ありますが、地域の偏見と考えられる
点もかなりあるように考
えます。2、3コメントしますと、
@「癌、白血病、奇形児などが増えはしまいか」
 原子力施設の周辺の放射線レベルは、年間0.05mSv(実際はその一桁低い)以下に抑
えており、人体に対する
影響は無視しうる。
A「社会全体や国家全体としての被害を、最小限度に止めておきたいからです。」
 上述の説明でもお判りのように、出来るだけ需要地の近くに造りたいが、広い敷地
の確保が不可能である。
B「土地の獲得や買収が、比較的容易であるという経済面の理由もあるかと思いま
す。」
 勿論、経済性も検討項目の一つではあるが、送変電費や送電損失を考えれば、出来
るならば、需要地の近く
に立地する方が望ましい。しかし、首都圏では、上述の説明のように、立地確保は不
可能である。
C「経済最優先、大都市優先、国益優先、地方軽視などの論理や哲学にも、この辺で
メスを入れる必要がある
かとも思います。」
 上述の説明のように、そのような考えはもっていないと考えております。原子力を
進めるにあたっては、安
全性を最優先に、信頼性(地域住民との信頼確保を含む)及び経済性を重点としてい
る。しかし、「地方軽視」
のご指摘については、都市に住むものが、立地していただいている地域の方々に対し
て感謝の気持ちが少ない
ことも事実であるので、この点について改善を図るべきである。また、原子力関係者
特に、原子力委員会は、
双方向対話により、地域住民の方々の考えを十分聞いた上で政策に反映すべきである
と考えます。以上

----- Original Message -----
From: "Kumao KANEKO" <kkaneko@eeecom.jp>
To: <Undisclosed-Recipient:;>
Sent: Friday, October 17, 2003 11:06 AM
Subject: EEE会議(Re:何故大都会の近くに原発を建設しないのか?)