EEE会議(Re:何故大都会の近くに原発を建設しないのか? 匿名氏の意見)..........................031017


標記の件に関し、ある海外特別会員(匿名希望)からも、次のような注目すべきコメ
ント
をいただきました。ご参考まで。 皆様のさらなるご議論を期待します。
--KK
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大都市近くへの原子力発電所の立地についての議論が行われていますが、すでに指摘
されているように、原子力発電所立地のためには、@堅固な岩盤が必要なこと、A大
量の冷却水が必要なこと、B広い敷地の確保が必要なことから、このような条件を満
たす適地を大都市に見出すことは難しい、ということが基本的な考え方であることに
ついては、もっともだと思います。

他方、具体的な発電所の設置時の審査は、原子力安全委員会の安全審査指針に則って
行われますから、その指針の適切性が議論されるべきと思います。

Bについては、立地審査指針が関係します。同指針では、以下の3つの指針が掲げら
れています。
ア)原子炉からある距離の範囲内は非居住区域であること
イ)原子炉からある距離の範囲内(かつ非居住区域の外側)は低人口地域で
あること
ウ)人口密集地帯からある距離だけ離れていること

これらの「ある距離」を判断するために、その目安となる線量が示されていますが、
実際に、これらを現実の発電所に適用して導き出される結論は、建屋のすぐ周りに人
が住むことが可能ということであり、広い敷地が必要という指摘は、少なくともこの
指針上からは導き出されないものと記憶しています。

もっと重要なのは、@ABの条件に係わらず、立地指針のウ)の規定によって、大都
市には発電所を作ることはできないということです。ウ)の規定は、実際には集団線
量(人Sv)を用いて評価されますが、大都市では、「人」の部分が圧倒的に大きい
ことから、この規定をクリアすることが出来ません。

したがって、大都市に発電所の立地が出来ないことについて、当面@ABを言うとし
ても、本質的には、立地指針のウ)の規定が意味すること、またその規定の適切性に
ついて議論しない限り、原子力発電所の大都市立地の議論は完結しないと思います。