EEE会議(Re: 米国の新エネルギー法案審議状況)..........................................................031025


米国の新・包括的エネルギー法案とこれを巡る連邦議会(とくに上下両院合同
協議会)の動きについては、ブッシュ政権のエネルギー政策の今後を占う上で
重要視されますので、これまで当EEE会議でもしばしばご紹介しておりますが、
本日届いたあるメルマガに次のような纏まった解説記事が載っていましたので、
ご参考までにお目にかけます。文章がやや翻訳調でぎこちないものの、内容的
には確かです。
--KK

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<大詰めを迎えたエネルギー法案 >

 連邦議会の包括的エネルギー法案交渉は最終段階に入ったように思わ
れる。米国はそういった法律を必要としている。しかし、一方で譲
歩の道は模索されなければならないとしても、法案の最終的な文言
はエネルギー生産の増進でなければならない。

 議員らが今もなお議論しているのは、エタノールに対する補助金
、アラスカの天然ガスのパイプライン、電力市場関連条項、それに
、「北極圏野性動物保護区」(ANWR)のエネルギー開発のため
の開放である。前述の問題は多くの点で譲歩は可能のように見える。
電力に関しては、議員は、電力会社に地域の送電関係団体といっし
ょにやるよう強いることはないかもしれないが、税制上の優遇措置
を使ってそうするように奨励するであろう。ガソリン添加エタノー
ルやメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)に関しても合意が得
られそうである。天然ガス・パイプラインに対する補助金は議員ら
を少しばかりうろたえさせ、同法案の減税総額は政府に若干の懸念
を引き起こしている。ブッシュ大統領は会議参加者に減税を80億ドル
に抑えるように要請したが、それは下院原案の2分の1以下である。

 ANWRについては譲歩の可能性は比較的低い。共和党員は民主
党による議事妨害を想定して、法案に票集めに有効なポーク(豚肉
=助成金)という鼻薬を効かせて対抗しようと試みた。しかし、
米国には議事妨害防止用の多数票を生み出すことができるほどのエ
ネルギー関連プロジェクトはないかもしれない。

 民主党員は、最終案に党の考えを十分に入れ込んでもらっていな
いと不満を言っている。その言い方は、もっともらしいが違ってい
る。なぜなら、法案の条項はすでにかなりの期間、廃案にされずに
生かされているからである。そして、共和党員は数点で譲歩した。
 しかしながら、偽善は双方に見て取れる。例えば、トレント・ロ
ット上院議員(共和・ミシシッピー)は最近「議会季刊誌」に対し
て、「われわれは3年の間この問題と取り組み、討議を重ねてきた
。にもかかわらず、何も生み出すことができなかった」と不満をも
らした。しかし、ワシントン・ポスト紙5日付の記事によると、法
案が、州の(電気・水道などの)公共事業部に、電力インフラ・レ
ベルアップの費用を支払うところを選択する責任を受け持たせる条
項を含むことになって、それにロット氏が「満足」しなければ、法
案を支持するつもりはないと、同氏は最近、会議委員の仲間に告げ
たという。
 ロット氏は地位の高い人であるが、それなのに、同氏の頑固さの
せいで法案の遅れが生じたのである。

 ほかにも同じように、自分らの選挙区民の利益を守るために一歩
も譲らない議員がいる。あらゆる方面の意見が一致する唯一のこと
は、恐らく、法案が、実質的には補助金と賄賂(わいろ)のカタロ
グになっているということであろう。米政府の仕事には、ポークバ
レル(特定選挙区や議員を利するような助成金をばらまく)という
犠牲をある程度払う一面があるにしても、“ソーセージメーカー”
の立法府議員らは、これらの最終的交渉においては、最低少しは自
制心を示す必要がある。

 しかし、米国のエネルギーの必要性は極めて大きい。8月の大停
電は、米国の電力インフラの老朽化の問題をクローズアップした。
周期的な電気料金の急上昇の問題は、米国における石油の海外依存
や天然ガスの供給困難の問題と同質のものである。原子力発電所も
黙々と老朽化と時代遅れの道を歩いている。エネルギー供給に対す
る需要の方は、際限もなく増大しているというのに、新たなエネル
ギー源の開発には優柔不断が続いている。

 政治家としての資質が、この法案が大詰めを迎えた今求められて
いる。たとえ、自らの選挙区民の利益に短期的には反することにな
っても、議員らはエネルギー生産を奨励するということに歩み寄ら
なければならない。ブッシュ大統領が3日に促したように、「国家
安全保障と経済的安全保障のために」、議会はエネルギー法案を早
く大統領のデスクに届ける必要がある。(世界日報)△掲載許可済