EEE会議(米国の小型核兵器開発計画:最新情報).......................................................03.11.07


米国の核兵器研究開発計画、とくにブッシュ米政権の推進する「使える核」研究
については、当EEE会議でもしばしばお伝えしてきましたが、最新のワシントン
情報によれば、連邦議会上下両院は11月5日、地中貫通型核兵器の研究予算
(2004会計年度)を半減しながらも大筋で承認することで合意に達した模様で
す。同政権は約1500万ドルを要求していましたが、認められたのは約750万
ドルです。

国防総省によれば、研究される小型核兵器は(1)地上の目標を攻撃する破壊
力の低い核弾頭、(2)地中深く貫通して地下施設を破壊する核弾頭(いわゆる
「バンカーバスター」)の2種類で、いずれも5キロトン以下。このうち(2)の地中

通型核兵器の研究予算が認められたことになります。小型核は、要するに広島、
長崎型原爆の3分の1以下の威力。 国防総省が2002年1月議会に提出した
「核戦略見直し報告」(NPR)で研究・開発が提案されていたものです。

上下両院はこの5月22日、「スプラット・ファース条項」(5キロトン以下の小型

の研究・開発禁止条項、1994会計年度の国防権限法で設定)の廃止を盛り
込んだ国防権限法(国防予算)を可決(下院は開発は禁止したままで研究のみ
を解禁)していたものです。

これに関連して、すでに米エネルギー省は9月19日、ネバダ州の地下核実験
場で核爆発を伴わない臨界前核実験を昨年9月26日から約1年ぶりに実施し
てます。1997年以来通算20回目で、ブッシュ政権下では7回目。これが小型
核兵器研究用であることは明白で、必要に応じいつでも本格的な核実験を再開
できる体制が整ったわけです。当面は研究開発だけで、実践配備については
議会も態度を留保していますが、こうした新型の核兵器の必要性が議会によっ
て正式に認められた意義は大きく、将来の国際情勢(とくに北朝鮮情勢)いかん
で実践配備の可能性が出てきたことは否定できません。

こうした米国の動きが、今後の核軍縮、核不拡散問題にどのような影響を及ぼ
すか(日本の核武装論への影響を含む)、益々要注意となってきたようです。

以上、ご参考まで。