EEE会議(余談:米国のネオコンの実態と影響力)...............................................................03.11.07


近時、イラク戦争、イラン、北朝鮮核問題を巡って米国のブッシュ政権内のタカ派=
いわゆるネオコン・グループとハト派=パウエル国務長官らのグループの対立抗争が
激化している模様ですが、実際にこのネオコンサーヴァティヴ・グループがどの程度
の影響力を持っているのか、ちょっと過大評価されているのではないかとも思われま
す。こうした疑問に応える分析論文が、米国の核問題専門誌"The Bulletin of the
Atomic Scientists"
(かつてのマンハッタン計画に関係した原子力科学者たちが始めた季刊誌。表紙の
「核戦争勃発までの時計」が有名)の最新号に掲載されています。筆者は、最近まで
パキスタンのラホーレ大学で教えていたKhurram Husain という人物で、今をときめ
くネオコンの代表選手たち(Paul Wolfowitz, Donald Rumsfeld等々)がどのように
イラク戦争を仕掛けて行ったかについて、過去数十年に及ぶネオコンの歴史的流れを
背景に、詳しく分析しているのが注目されます。核拡散問題に関するブッシュ政権の
思想的な背景を知る上でも極めて示唆に富む論文であると思いますので、かなりの長
文ですが、関心のある方は是非次のサイトで原文を一読されるようお勧めします。

"Neocons: The men behind the curtain," by Khurram Husain
Bulletin of the Atomic Scientists, November/December 2003.
http://www.thebulletin.org/issues/2003/nd03/nd03husain.html


また、ネオコン・グループの牙城ともシンクタンクともいうべき「Project for the
New American Century」で1999
年〜2002年まで副理事をしていたTom Donnellyなる人物が書いた次の最新論文も、ネ
オコンの考え方を知る上で有益かと思われます。とくに、現在イラクでエスカレート
しつつある旧サダム・フセイン派の残党によるゲリラ戦に対処するには、今から10
0年前のフィリピン戦争(米西戦争1899-1902年)のときの教訓を生かすべきである
としているのは興味ある指摘だと思います。

"U.S. Counterinsurgency in Iraq: Lessons from the Philippine War,"
by Tom Donnelly & Vance Serchuk. America Enterprise Institute's National
Security Outlook, November 3, 2003
http://www.newamericancentury.org/defense-20031103.htm

なお、これらの論文は、在日米国大使館提供の情報に基くものです。
--KK