EEE会議(Re:米国の包括的エネルギー法案の審議状況)...............................................................03.11.26


米国の包括的エネルギー法案の議会審議が山場を迎えているようですが、これについ
て、会員の堀 雅夫氏(原子力システム研究懇話会)より次のような最新情報を送っ
ていただきました。ご参考まで。
--KK

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先週、米国原子力学会の年会と同時開催のGLOBAL 2003国際会議に参加してきまし
た。ここでも、エネルギー法案の議会での審議の状況に注目が集まっていました。そ
れは、この法案にアイダホに原子力発電・水素コジェネ原子力プラントを2010年まで
に建設・運転開始する条項が含まれているからです。

このプロジェクトは、3月にアイダホ選出のCraig上院議員が提案し上院のエネルギー
法案に組み込まれました。しかし、上院でのエネルギー法案が7月末に審議未了に
なったため、その後は上下両院協議に委ねられ、先々週の末に纏まった法案にもこの
コジェネプラント条項が入りました。

先週は上下両院でこの法案の投票になり、下院では既報のとおり火曜日にすんなりと
可決されました。しかし、上院では21日金曜日まで縺れ込み反対派のfilibusterを阻
止できずに流れて、成立がかなり難しくなっています。共和党が賛成、民主党が反対
が大筋ですが、地元との関係から両党に逆の立場の議員がかなりいて、討議打切りの
投票では民主13人、共和6人が逆に投票したと報じられていました。

主な争点は、ガソリン添加剤MTBEの製造者責任の免責条項と、大きく脹れ上がった各
種エネルギーへの補助金・免税の2点で、アイダホの原子力コジェネプラントは争点
にはなってません。

MTBEは、ガソリンの添加剤でオクタン価を高めCOを減らす効果があるので導入された
ものですが、水に溶けやすいためガソリン・タンクからの漏れによって殆ど各州で地
下水の汚染問題がおきて訴訟に発展しており、製造者責任の免責にはとくにカリフォ
ルニアなどが反対しています。エネルギー法案には、これに代わるトウモロコシから
のエタノールのガソリン・ブレンディングの導入も盛り込まれており、このために農
業州の民主党議員の支持を得ています。

議会は今週の感謝祭の休み開けで休会するのが通例のようですが、ホワイトハウスと
推進派は反対議員を切り崩して何とか通したいと言ってます。大統領も滞在中のロン
ドンからこのために議員に電話したとか出ていました。MTBE条項を外すなどの妥協案
を出して巻き返せるか、不透明な状況のようでした。米国時間の今週火曜日が山場か
と出ていましたので、もう決着がつく頃と思いますが、以上一応レポートします。

堀 雅夫
原子力システム研究懇話会