EEE会議(福井県の「原発カード」問題:最新情報)...........................................................03.12.02

このところJNCの「もんじゅ」計画、関西電力のプルサーマル計画、原電の敦賀
3,4号機増設問題などに関連して、福井県内の動向が注目されておりますが、
平素東京の一般紙では同県関係のニューズが少なく、どうも様子がはっきり掴め
ません。 たまたま今朝次のような福井発の情報(毎日新聞福井県版、12/1)を
地方在住の知人から送っていただきました。北陸新幹線着工問題が「原発カード」
として政治的に使われている等、現地の状況は大分複雑になっているようです。 
ご参考まで。
--KK

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[原発・収支決算]福井発 第2部/1 原発カード 3点セットが交換条件
 (毎日新聞福井県版、2003年12月1日)

 原子力行政を進める交換条件に地域振興を求める――事前了解などを先延ばしし、
要求の担保として手元に置くことから“原発カード”ともいわれる。北陸新幹線の早
期着工実現を目指し、県は今、かつてないほど原発カードの存在をにおわせている。
「これだけ国策でもある原子力政策に協力しているのにインフラ整備で後れをとって
いるのはおかしい」という住民感情が発想の根底にあるが、県民の思いは一様ではな
い。複雑に利害が絡み合う原発カードの背景を探った。 【兵頭和行、日野行介】

 「もんじゅだけではなく、プルサーマルも3、4号も県民の利益、地域振興を踏ま
えて判断したい」。先月14日、西川一誠知事は▽国が進める高速増殖炉「もん
じゅ」(敦賀市)改造工事▽日本原子力発電(原電)の敦賀原発(同市)3、4号機
増設計画▽関西電力のプルサーマル計画――県内の“原子力課題3点セット”進展を
「交換条件」に、北陸新幹線の県内着工を含む地域振興策を国に求める姿勢を明確に
した。西川知事就任から半年が過ぎ、県の切り札、原発カードが姿を現した。

 3、4号機増設計画は昨年12月、栗田幸雄知事(当時)と河瀬一治・敦賀市長が
地元了解を出した後、動きがない。普通なら事前了解を受けた直後、安全審査申請を
国に、海面埋め立てなど基礎工事に必要な開発許可申請を県に提出するが、原電は今
年3月、運転開始予定を1年先送りした後は、「来年春の基礎工事着手を目指して申
請準備中」と話すのみ。30年以上にわたり反原発運動をしている「高速増殖炉等建
設に反対する敦賀市民の会」の吉村清・代表委員も「こんなことは初めてだ」と驚き
を隠さない。

 関係者の話を総合すると、当初、原電は今年9月中にも申請する予定だった。しか
し鷲見禎彦社長が8月下旬、県庁で西川知事と面会。北陸新幹線の県内着工にかける
県の強い意向などを受け9月中の申請を断念したという。西川知事は当時、毎日新聞
の取材に「(申請は)原電が決めること」と述べ、原電に主導権があり、県にないこ
とを強調、申請の先送りを求めたことを否定した。

 しかし今では「もんじゅ」の改造工事着手と同様に3、4号増設計画も知事の「判
断対象」とすることを明確にしている。当初は今秋と言われながら、自民党総裁選や
衆院選などで日程がずれ込み、なかなか具体化しない整備新幹線建設のスキーム(枠
組み)見直しに、まるで焦っているかのように映る。

 栗田前知事も3、4号機増設計画の事前了解と引き換えに、原発15基が集中する
嶺南地域を東西に貫く舞鶴若狭自動車道の完成を求めた。これに対し西川知事は「1
対1で対応する取引ではない」として、3、4号機増設と北陸新幹線が個別の「交換
条件」ではないと強調する。

 しかし国の関係者は「県は北陸新幹線一本やり。県内着工を求めて各省庁に陳情を
繰り返している」。交換条件とするのに難色を示す敦賀市の幹部も「1対1の取引で
はないと知事は言うが、舞鶴若狭自動車道の名前はほとんど出てこない。事実上、も
んじゅも含めて新幹線との取引以外にない」と漏らす。

 いずれにせよ、3、4号機と新幹線が政治的に関係していることが明白になった。
 =つづく(毎日新聞)