EEE会議(Re:福井県の「原発カード」: 核燃機構と原研の統合).................................................031204
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福井県の「原発カード」の一環として、核燃料サイクル機構(JNC)と日本原子力研
究所(原研)の統合問題も絡んでいるようです。 福井県発の最新情報(熱田利明氏
提供)です。ご参考まで。
--KK

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[原発・収支決算]福井発 第2部/4 原発カード 核燃機構と原研の統合
 (毎日新聞福井県版、2003年12月4日) 
http://www.mainichi.co.jp/area/fukui/news/20031204k0000c018002000c.html


◇「もんじゅを研究開発の拠点に」
◇茨城との綱引きも

 「(もんじゅ周辺を)研究開発拠点として推進していただきたい」

 核燃料サイクル開発機構(核燃機構)の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)につい
て、西川一誠知事は先月21日、文部科学省や核燃機構に要請した。背景には、核燃
機構と日本原子力研究所(原研)の統合で、原子力の研究開発機能が茨城県に集中
し、福井県が取り残されることへの不安がある。
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 政府が進める特殊法人改革で、核燃機構と原研は05年度中に統合し、職員450
0人、年間予算2300億円の巨大な原子力研究開発機関が誕生する。両者は原子力
研究開発を行う特殊法人で茨城県内に中心施設が多いものの、放射線利用など基礎研
究中心の原研と、「ふげん」や「もんじゅ」といった新型原子炉開発など実用化研究
中心の核燃機構には、大きな隔たりがある。

 西川知事の要請は▽もんじゅ周辺を研究開発・人材育成の拠点として整備▽廃炉研
究機関の設置▽放射線応用技術の研究施設の設置――など。県原子力安全対策課の来
馬克美課長は西川知事の要請について「もんじゅをただの発電プラントではなく研究
の拠点にしてほしい。(福井を)単なる電源供給地にとどめたくない」と解説、茨城
県への対抗意識が見え隠れしている。

 今年9月末に発表された核燃機構の人事異動は県内の関係者に大きな動揺を与え
た。中神靖雄・敦賀本部長以下幹部は総入れ替えで、“ミスターもんじゅ”の菊池三
郎・もんじゅ建設所長(理事)も退任した。

 ナトリウム漏れ火災事故(95年12月)直後に就任した菊池前所長は、県や市と
の交渉から反対派との論争までこなす核燃機構の「顔」。核燃機構では高速増殖炉の
実用化路線の中心で、退任を「新法人内での実用化路線の敗北」と受け取る関係者は
多い。原研による核燃機構の吸収合併の色合いが濃くなれば、新法人での敦賀本部の
「格」も下がりかねない。

 厳しい流れの中、県や地元経済界では福井大が来年度から大学院に設置する予定の
「原子力・エネルギー安全工学専攻」に期待する。原子力産業に供給する人材の育成
と先進技術の地元企業への移転が期待される役割だ。核燃機構から技術者を招いて開
く連携講座も予定している。

 しかし、“敵方”にも同様の動きがある。茨城大も来年度から大学院に「応用粒子
線科学専攻」を設置。放射線を利用した材料開発や産業移転を目指し、原研との連携
講座も予定している。山形耕一・工学部長は「茨城には研究設備が整っており、地元
産業に良い成果を出したい。福井大とは少し狙いが違うが、意識している」。

 研究開発拠点を巡る綱引きは既に始まっているが、国の関係者は「茨城は国の原子
力研究にとって特別な場所。発電からスタートした敦賀を同じようにできるかは疑
問」と指摘する。

 核燃機構によると、「博士号」を持つ職員は敦賀本部6人に対して茨城県内は計7
5人。「ふげん」や「もんじゅ」の建設や運転も各電力会社からの出向者が支えてき
た。人材面での研究機能の差は明らかだ。

 いずれにせよ、県内に新たな研究施設ができれば一件落着という問題ではない。 
=第2部おわり