EEE会議(京都議定書の早期発効は絶望的?)...................................................031204

地球温暖化防止のための京都会議(COP3)が開催されてから早や丸6年が
経過しましたが、この会議で作成された京都議定書の早期発効の可能性は
益々遠のきそうな状況になってきました。 発効のためのキャスティング・ヴォー
トを握っているロシアの消極的態度がはっきりしたからです。

気候変動枠組み条約の第9回締約国会議(COP9)が12月1日、イタリアの
ミラノで開幕、先進国の温室効果ガスの削減義務を定めた京都議定書の細則
合意に向けた話し合いが続けられる中、同議定書発効のカギを握るロシアの
プーチン大統領が12月2日、現在のままでの議定書批准を拒否する姿勢を明
らかにしました。

同大統領はこの日、欧州共同体(EU)の財界代表団と会談した際に、「現在の
形のままでは、ロシアの経済成長を制限することになる。京都議定書の批准は
できない」と断言した由。 早期発効を目指し、ロシアに批准を強く求めていた
日本(環境省)やEUにとっては、大きな打撃といえましょう。

ご承知のように、米国は、ブッシュ政権発足直後の2001年3月、京都議定書
離脱宣言を行ないましたが、その理由として、主要な発展途上国に削減目標を
課さない議定書が米国の利益を損なう点を挙げました。今回のプーチン大統領
の批准拒否も、まさに、ロシアの経済成長という国益に反することを拒否の理由
にしたわけです。もっとも、本当の理由は、ロシアの批准によって得られる経済
的メリット(排出権取引きによる収益など)が予想より少ないと判断したため、と
されています。

(ちなみに、京都議定書第25条によると、議定書の発効には55カ国以上が
批准する必要があり、さらに、この批准国のうち先進国の1990年のCO2排
出量の合計が、未批准国を含む全先進国の排出量の55%以上になる必要が
あります。2003年11月現在、批准国は120カ国ですが、上記排出量の合計
は約44%にすぎません。)

対テロ戦争遂行を抱え経済重視・国益最優先で突き進むブッシュ政権に加え、
ロシアも批准拒否に出たことで、少なくとも、現在の形での京都議定書発効の
見通しは一層暗くなったようです。いまさら議定書に修正を加えるにしても多国
間交渉は至難事で、これまで京都会議の主催国として一生懸命早期発効の旗
を振ってきた日本政府も「打つ手なし」というところでしょう。そろそろ京都議定書
以外の方法を探る必要が出てきたような気がしますが、さてその具体的な方法
とは?
--KK