EEE会議(安全目標に関する中間答申への益田氏のコメント)...............................................031206


原子力安全委員会が募集していた「安全目標に関する中間答申」に対するコメント
が、幾人かの方々から同委員会に提出されましたが、その中から、益田恭尚氏(EE
E会議特別会員)のコメントを同氏の了解を得て以下のとおりご披露します。 「エ
ネルギー問題に発言する会」の会員諸氏にはダブっていますが、悪しからず。
--KK

*******************************************
 
原子力発電所の安全目標を制定されるとのこと、遅きに失した感はあるものの、至極
当然のことであり、先ずはご同慶の至りと申し上げたい。しかし案文に言われている
ように、一般民衆の理解を得ることが大切であるとすれば(私もそう思うが)、この
文章自体もっと分かりやすい言葉で表現することが大切であろう。

残念ながらわが国においてはリスクという概念が未だ定着していない。我々を取り巻
くいろいろな事象についてのリスクを、同一比較ベースにおいて分かりやすく示す必
要がある。例えば補足説明の表は誤解を招く恐れがある。飛行機に乗るときのリスク
と飛行機事故のリスク(交通事故のリスク9.8×10-5の×1億人=9800人/年の一部)、
化学工場の周辺住民と化学工場のリスクは違う。原子力の安全目標を10-6として1億
人を掛ければ毎年100名死ぬことになる。この辺の説明が明確でないし分かりにく
い。

十月末、京都産業大学講師朴勝俊氏が決定論的な手法を用いて推計したとして、PWR
プラント1基に仮想事故が起これば、40万人の死者と460兆の損失が出るとした論文
を、国民に信用されていると考えられる共同通信が配信したが、専門家が見れば荒唐
無稽な評価であることは明らかであるとしても、一般の国民に安全目標との差をどの
ように説明するかは、そう容易なことではないと思われる。

リスクの概念を持ち込むのであれば、原子力だけに導入するのではなく、国として広
くリスク評価研究と、リスク概念の普及をする努力が必須であると考える。

益田恭尚
藤沢市辻堂4-9-53
takmasudajp@ybb.ne.jp