050104 Re:我が国の高速増殖炉開発に関する提言案[第4次案]に対するコメント)  天野牧男氏←木村正彦氏

 
標記のメール(05/01/04 木村正彦氏=名古屋在住)に対し、天野牧男氏から次のような反論が寄せられました。ご参考まで。
--KK
 
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木村正彦氏のご意見に対して:
 
こういうご意見を頂くと困るのですが、我々が考えていることは、お金があるからやるというような道楽仕事ではない心算です。
もう電力は要らないというようなお話ですが、電力は必要です。勿論高度成長期のように急激な伸びはありませんが、いくら少子化でもどんどん電力消費が減っていくとは思えません。
国の経済の長期見通しでも、GNPの多少の増加を見越しています。GNPが増えれば電力消費は増加します。
 
現在わが国の電力設備の60%は石炭、石油などの火力発電です。最近はガスタービン発電以外は殆ど建設されていませんから、これらの寿命が早晩まいります。今リノベーションなどで長寿命化の努力が払われていますが、時間の問題です。これらを寿命が来たことで廃止したらどうするのでしょうか。新しい発電所などもういらないというわけには行きません。
 
さらに環境問題を本当に真剣に考え、京都会議の約束の方向にこれからも進んで行くのであれば、これへの総合的な対処を考えていく必要があります。60万KWの石炭火力発電所を原子力発電に切り替えると、わが国のCO2発生量は約0.5%減少します。これは京都会議の約束6%という数字と比較すると相当な値になります。
 
私の小論で高速増殖炉について触れましたのも、このシステムはクリーンで、安定した供給が長期にわたって期待できる可能性が高いと考えられているからであります。この開発のためには勿論金も人も必要です。金が余っているからやるのでは無くて、必要だからやるのです。そのためには何とかお金を捻出していく必要があります。また総合的なエネルギー問題は個々の企業の問題ではありません。国のエネルギー政策はまさに外交であり、防衛であります。また実際にエネルギーを安定して確保出来なければ、国家は成立しません。そのための開発にかかわる問題は国がやらなければ、何のための国家なのでしょうか。この認識を各界の方々に持っていただきたいというのも小論の意図であります。
 
最後のご意見と通じるものがあるかもしれませんが、21世紀の世界は、私の想像をはるかに超えた、悲惨な時代になってきました。こういった騒乱は矢張り貧困と、貧富の格差が基本的な原因です。それにかっては貧しい人たちは、自分の廻りしか知りませんでした。情報化の時代になってしまった世界では、同じ人間でありながら、豊かで自分たちと格段に素晴しい生活をしていることを知ってしまいました。この難しい問題を少しでもほぐしていくためにも、エネルギーが要ります。
 
人類は自分たちの持っている、あらゆる能力を動員して、繰り返しますがクリーンで、あまり高価でないエネルギーを安定して供給出来るように努力する必要があります。しかし他でも述べましたが、役に立つものは必ず危険です。その危険なところをうまく管理して、役に立たせていくのが人類の知恵です。(エネルギー問題に発言する会のHP http://www.engy-sqr.comにある 原発反対の風潮の広がりを愁う 第二話 「危険でないものは役に立たない」 をご参照下さい)
 
ここで取り上げられた問題は、これからのまず日本にとって非常に重要なことであります。私どもは微力ではありますが、現在同様な意見を持つ仲間たちと、この問題をつめて行き、折々に発表していきたいと考えています。詳細についてはそちらの進展をご覧いただければ幸いです。
 
天野牧男
 
 
 
-----------Original message----------
>皆様
 
>標記のメール(05/01/03 天野牧男氏)に対し、木村正彦氏から次のようなコメントが寄せられました。ご参考まで。
>高速増殖炉開発問題に関しては、目下取り纏め中の提言案(第4次案:04/12/23配信)をベースに議論を進めておりますので、これを精読された上でのコメントを歓迎
>します。コメントは小生と柴山哲男氏(shibayama@mvh.biglobe.ne.jp)宛てに1月10日頃までにお送り下さい。勿論、「そもそも論」をすべて排除するわけではあり
>ませんので、念のため。
>--KK
 
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> 高速増殖炉派の天野氏の意見は、なぜ高速増殖炉なのか?
>非常に、論理に飛躍があります。特に、エネルギーセキュリティ