050105 Re:我が国の高速増殖炉開発に関する提言案[第4次案]について: 小川博巳氏のコメント
 
標記の提言案(第4次案)に関して、小川博巳氏から次のようなコメントをいただきました。ご参考まで。
なお、第4次案(04/12/23配信)を紛失された方々のために、添付ファイルで再送します(但し、赤字の部分は小川氏の修正提案です)。
--KK
 
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「我が国の高速増殖炉開発に関する提言案」につきましては、 労を惜しまぬ(第4次案)の取り纏めのご努力に、敬意と感謝の念に堪えません。それ以降も、多くの皆様の多面的な議論が継続しておりますが、<提言3・国際協力>に関連して以下に卑見を述べさせて頂きます;

 

「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」との視点について

 

現下の国際政治・経済的環境から見れば、「我が国のエネルギー安全保障」を確立するためには、欧米ならびに中国はじめアジア域内諸国とのエネルギー争奪戦を勝ち抜かねばならないが、争奪戦の行き着く先は武力に頼り、覇権を求める世界、戦争をも辞さない嘗ての過ちが彼岸にある。我が国は過去の苦い経験を糧とし、新たな発想が求められる所以であるが、一国主義を脱し、東アジア地域のリーダーとしての視点に立ち、「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」を訴えるべきではないかと考える。

 

ASEAN+日中韓三国と、必要に応じてロシア・北朝鮮(国際社会のテーブルにつかせ、エネルギー支援をする重要な契機にもなり得る)を加えた東アジア地域に的を絞り込んで、我が国がリーダーシップを発揮することが現実的ではないかと考える。身近な「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」のために、我が国に何が出来るかを考え、貢献策を関係諸国に提案することこそ大切ではないか。

 

国際的枠組みの構築や、エネルギー環境問題の研究機構、あるいはフォーラムの結成などの提案に際しても、このようなスタンスに立っての提案でなければ、真の賛同は得られないのではあるまいか。日中両国は、ロシアからのパイプライン敷設の問題、海底ガス田と排他的経済水域設定の問題など、資源外交上の難問を抱えているが、一方では、南シナ海諸島に絡む中国・ベトナム・フィリピン・マレーシア・ブルネイ・台湾など、諸国間のエネルギー利権争い、領有権争いも深刻化している。エネルギー利権問題の解決にも、また、中東から同海域を経由するシーレーンの防衛問題などを関係諸国と協議するに際しても、我が国のエネルギー国家戦略の基本的スタンスを、「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」に置くべきではあるまいか。

 

 このための方策として、嘗て次の「四つの構想」を経済産業省へ提案した(詳細は省略、添付参照);

   「東アジア地域に国際エネルギー市場を」

   「原子力プラント輸出」による「アジアの核拡散防止」

   「アジア原子力地域協力機構(ASIATOM・金子熊夫氏提唱)」の創設

   「東アジアのエネルギー協調」ロードマップを作れ

 
奇しくも、ASEAN+3の会議で「東アジア共同体構想」が現実味を帯びつつあり、関係諸国からも熱い視線が向けられている今こそ、高速増殖炉の開発に於ける国際協調を、「ASIATOM」の柱の一つとして位置づけ、「東アジアのエネルギー協調」のロードマップに明示し、持続的発展のためのエネルギー確保をプルトニュウムの造出と利用に求める「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」を訴えたい。
 
この様な視点に立って、(第4次案)<提言3・国際協力> につき、若干手を加えた修正案を添付します。この分野は金子先生が専門とされる領域ですので、ご検討を賜り、自在に修文をお願いします。
また経済性を追求し、国際協調を進める上では、(2)実証炉の基本仕様の設定でも、若干の配慮が求められますので、一部語句を追加しました併せてご検討願います。
 
 
小川 博巳
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