◆笠沙町長、核燃処分場誘致を撤回
    (南日本新聞  2005/01/08)


<議会の全面反対受け>

 笠沙町の中尾昌作町長は7日、高レベル放射性廃棄物最終処分場を宇治群島へ誘致する構想を白紙撤回した。町議会の全面反対を受けて、議会合併問題調査特別委員会で表明した。予定した住民説明会や同廃棄物貯蔵管理センター(青森県六ケ所村)の視察は中止する。さらに核関連施設を町内に誘致しない条例案を3月議会に提案する意向も示した。特別委には誘致に反対する多数の町民が傍聴に訪れた。
 特別委の冒頭、同町議会の平八重昭男議長が「議会は全会一致で誘致構想に反対する。白紙撤回する意向はないか」と質問。中尾町長は「議会の総意を無視して進もうとは思っていない。議会が認めないのであれば、この話はこれ以上できない」などと述べた。
 議員からは「2年前から調査研究してきたと聞いた。町民不在の密室行政だ」などと厳しい意見が続出。中尾町長は「国や県との折衝が片付いた段階で話そうと思っていた。事が事だけに決断までに時間がかかった」と釈明した。
 平八重議長は「核関連施設はいらないという条例を制定してほしい」と要望し、中尾町長は「議会が制定を求めるなら3月議会に出すことを検討したい」と答えた。
 合併について中尾町長は「調印へ向けてきちんと進んでいきたい。構成市町には(構想の白紙撤回を)報告したい」と述べ、1市4町(加世田、笠沙、大浦、坊津、金峰)による協議続行を言明。「皆さんに不安を抱かせた。おわび申し上げたい」と述べた。
 最終処分場に関しては、原子力発電環境整備機構(東京)が公募する建設調査候補地として、中尾町長が同町南西沖約70キロの宇治群島への誘致構想を4日に表明。2004年度中の応募を目指し、合併協議について「単独も視野にある」と発言していた。
 笠沙町漁協は7日午前、誘致の白紙撤回を中尾町長に求めていた。