050109 Re: 「我が国の高速増殖炉開発に関する提言案」[第4次案]について)  神山弘章氏のコメント


標記提言案に関する神山弘章氏のコメントをご披露します。これらのコメントは主として提言の纏め方や表現方法に関するもののようです。ご参考まで。
--KK

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「FBR開発に関する提言」の効率化についてーその2

1.  より効率的な提言のために

  原子力に係わる最近の提言には以下のものがある。
 1)「フォーラムエネルギーを考える」提言(4件)(H4〜H10)
 2)科学技術連合フォーラム、世話人石井吉徳氏「全世界石油生産はピークを超えた」(提出先:内閣総理大臣)(H15.6.27)
 3)電力中央研究所エネルギー未来フォーラム、「エネルギー政策への提言」(H15.11.5)

 4)日本原子力産業会議、
       ○原子炉開発利用委員会提言「向こう10年間に何をなすべきか」について、(H16.2.24)

       ○新原子力長期計画策定が開始されるにあたっての提言(H16.6.15)
       ○核燃料サイクル委員会「プルトニウム利用はどうあるべきか」産業界からの提言(H16.7.1)
 5)日本学術会議第5部、資源開発工学研究連絡会「緊急アピール」(H16.12.24)

  これらの提言がどのように活用されたのであろうか?今回の我々の提言がより効果的なものになるために重ねて私の考えを述べる。

2.   提出先と内容

第4次案の内容にはFBR開発政策の改善に係わる内容と技術的な具体的な内容が含まれている。提出先を明確に限定して、提出先に適した内容にした方がよい。提出先が担当しない内容の提言は無意味である。

3.   表現

提言内容の特徴あるいは新規性を明確に強調した方がよい。新規性があったとしても一般的な長い説明の中に埋もれてしまっては新規性の理解が困難である。提出先の人が常識として認識していることは省略した方がよい。表現は冗長を避け、簡潔がよい。「偉い人」は一般に多忙である。
 例えば、提言はゴシックで2行程度に纏め、その下に多少の説明を加える。必要ならば、別紙として付属資料があってもよい。主査は論旨の纏めに主力をおき、作文は会員の中の文章表現の優れた人にお願いするのも一案と考える。


4.  発表と提言

「発表」は不特定の人に著者の考えを表明するものであり、「提言」は政策の責任者に政策の改善案を具申するもので何らかのプラスの結果を期待していると考えられる。しかし、現状ではこの2つの用語の使い方について厳密な区別はない。
「和をもって尊し」とするわが国では今まで「あいまいさ」が社会に馴染んできた。契約社会から伝わってきた原子力の社会では、今までの「あいまいさ」が通用しなくなってきた。
今回の提言を効果的にするためには、提言を受ける人に強いインパクトを与えることが望ましい。そのためには自己表現を主とした「発表」でなく、本来の真剣な意見具申である「提言」の形にした方が良いと考える。

 以上

H17.1.9.  神山弘章