050110 Re: 「わが国の高速増殖炉開発に関する提言案」(第4次案)について)  天野牧男氏⇔豊田正敏氏

 

標記件名のメール(01/08 天野牧男氏)に対し、再び豊田正敏氏から次のようなコメントが寄せられました。ご参考まで。

--KK

 

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天野様

 

コメント有り難うございます。私の説明が判りづらいために、すれ違いのコメントが 多く見受けられるのではないかと考え、今回はよりはっきりとコメントしますので、すれ違いでないまともな解答をお願いします。

 

1 21世紀のエネルギー資源

私が言っているのはウラン資源は21世紀中は需給が逼迫することなく、価格も200ドル/kgUを超えることはないであろうから、当面、全力でFBRの実用化のための技術開発に取り組むべきであるが、実用化の見通しが得られないまま、何時までも高速増殖炉に固執すべきではないと言っているのである。貴方は「最も可能性が高いナトリウム冷却炉」とか、「ナトリウム冷却型高速増殖炉は、高い貢献が出来る可能性がある」と言っておられるので、その技術的、経済的根拠を聞いているのに対し、「現在のような技術開発の進め方では実用化の見通しをうることは難しい」というのでは答えになっていないのではないでしょうか。

「この組織は文部科学省と経済産業省の共管になり、特に高速増殖炉の実用化を目指した技術開発を科学研究を担当する文部科学省の所管にする」ことは最悪であり、前途は暗いと考える。その他の仰っていることは問題の本質と関係のないと考える。

 2 もんじゅの事故と開発協力のあり方

私が問題にしているのは、振動疲労割れは軽水炉でもたびたび経験しており、熱伝対のケースの形状から見て同様のトラブルが起こらないか検討されるのは当然ではなかったかと考えている。トラブル発生後にとられた措置はメーカーとして当然とるべき対応であるが、問題は、「もんじゅ」が止まることによる遥かに大きい国家的損失と国民に不信感を与えたことに対する責任を感じておられるか、聞いているのである。

   私は、原子炉メーカーが、研究開発に参画しろといっているのではなく、国による技術開発が進んだ段階で、自ら、設計、製作する能力を持ちリスクを採って一括発注出来るような準備をしておく必要があると言っているのである。軽水炉の場合も、米国のGE社及びW社が国立研究所である程度研究成果の上がった段階で、社運を賭けて技術開発に取り組み一括発注により受注したことで成功したという歴史に学ぶべきである。特に、他の大部分の原子炉メーカーの方と異なり、ナトリウム高速増殖炉がそれほどの困難もなく実用化出来ると確信しておられる貴方であれば、その位のことは考えるべきではないでしょうか。JNCに任せるのではなく、よい製品を作ることがメーカーの責務であると考える。

3 過去の問題点の取り込み

JNCの組織、陣容や対応については中神氏始めJNC関係者に改善案について申し上げているが、真剣に検討されないところに問題がある。JNC独自に解決出来ないものもあるが、内部でどのように改善すべきかもっと議論すべきである。特に、新幹線があのように、世界のトップレベルになったのに比べて、何故、動燃が技術開発を手がけて既に40年経つにも拘わらず、実用化のメドすら立たない原因を究明し改善策を考えるべきである。

また、私が質問しているスーパーフェニックスの技術的問題についてJNCの説明を丸呑みするのではなく、自ら確かめるべきであり、そのようなこともしないで、「最も可能性が高いナトリウム冷却炉」とか、「ナトリウム冷却型高速増殖炉は、高い貢献が出来る可能性がある」と言っておられるのは、いやしくも技術者として恥ずべき行為ではないでしょうか。
是非、ご検討のうえ解答をお願いする。

----- Original Message -----
From: Kumao KANEKO
To: Undisclosed-Recipient:;
Sent: Saturday, January 08, 2005 6:00 PM
Subject: EEE会議(Re: 「わが国の高速増殖炉開発に関する提言案」(第4次案)について)  天野牧男氏⇔豊田正敏