◆長期需要想定 伸び率、低水準続く 電力の設備投資停滞
    (電気新聞  2005/1/28)


電力各社が来年度供給計画の策定作業を本格化させる中、計画のベースとなる長期需要想定の伸び率は引き続き低い水準となりそうだ。2014年度までの向こう10年間の需用電力量(流通対応)の平均伸び率は1.2%、最大電力(同)は1.5%にとどまり、電力量は1年程度、最大電力は2年弱の遅れ年が生じる見通しとなっている。

需要が伸び悩む一方で、電力会社と特定規模電気事業者(PPS)の競争は激しさを増しており、電力会社は電源設備などへの投資に一段と慎重な姿勢を強めると見込まれる。長期需要想定はここ数年、電力量、最大電力とも10年間の伸び率が1%台にとどまっており、前年の見通しに対しては毎年のように遅れ年が生じている。昨年の想定でも03年から13年までの伸び率は電力量が1.4%、最大電力が1.8%だったのに対し、今回はこれを下回る。地域差も大きい。中でも最大電力については1.8%の伸びが見込まれる地域がある一方で、1%を下回る地域もあり、経済情勢などの違いが映し出されることになりそう。

電力各社はこの想定をもとに来年度の供給計画を策定することになるが、需要の伸び悩みに加え、PPSとの競争がさらに激しくなるため設備投資の抑制傾向が続くの確実。PPSは小売自由化範囲の拡大や振り替え料金制度の廃止などをにらみ電源建設を計画しており、その分の需要が電力会社から離脱する可能性が高い。このため、特に原子力を含む大規模電源に対する投資に対しては慎重な姿勢をとることになりそうだ。