050131 長期計画策定会議の原子力安全確保に関する議論の中間取りまとめ

 
新原子力長期計画策定会議における「安全の確保に関する中間取りまとめ」です。若干旧聞に属しますが、本日配信された「原子力オピニオン最新情報」(経済産業省発行)に掲載されております。ご参考まで。
--KK
 
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原子力委員会新計画策定会議が「安全の確保に関する中間取りまとめ」
 
 
リスクコミュニケーションを効果的に


「安全の確保に関する中間取りまとめ」を了承した
原子力委員会新計画策定会議
(前列左から2人目が近藤駿介議長。
1月13日、東京・江東区青海のタイム24ビル)

 原子力委員会新計画策定会議(議長・近藤駿介原子力委員会委員長)は1月13日、「安全の確保に関する中間取りまとめ」を了承しました。

 原子力委員会は、昭和31年に最初の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(原子力長期計画)を策定し、概ね5年ごとに評価と見直しを行っています。10回目の新しい原子力長期計画を策定するため、昨年6月に新計画策定会議が設置されました。新計画策定会議は、まず、核燃料サイクル政策に関して審議を行い、それに引き続き安全の確保に関し審議を行い、今回、その中間取りまとめを行ったものです。

 この中間取りまとめでは、「新計画における安全確保に関する基本的考え方」として、原子力の研究、開発及び利用の活動を進めていくためには、原子力施設の安全が確保されていること、すなわち、こうした施設のリスクが十分小さく抑制されていること、そのための活動が立地地域の住民をはじめとする国民に正確に理解されていることが大前提として必要であるとしています。そして、こうした活動を住民や国民に説明し、相互理解を深める、いわゆるリスクコミュニケーションを効果的に行うことが国及び事業者の責任であると述べています。

4つの項目で構成

 中間取りまとめは、「新計画において示す安全の確保に関する施策の位置づけ」、「安全の確保に係る取組の現状」、「新計画における安全の確保に係る基本的考え方」、「今後の課題」の4つの項目で構成されています。

 まず、「新計画において示す安全の確保に関する施策の位置づけ」では、原子力の研究、開発及び利用のすべての分野における安全の確保の重要性を指摘し、その観点から国と原子力事業者が今後行うべき活動の基本的考え方を示す、としています。

 「新計画における安全の確保に係る基本的考え方」の中で、(1)事業者の課題、(2)国の課題、(3)国と事業者に共通の課題が示されています。

 (1)事業者の課題については、原子力施設の安全確保について第一義的責任を有しており、効果的な安全確保活動を可能にするため、経営層(トップマネジメント)が組織全体で「安全確保活動を最優先」する価値体系を確立する必要があるとしています。それにより、組織全体において安全文化を確立することが可能となると述べています。

 さらに「労働災害への対応」、「リスク管理と情報の共有」、「地域社会への情報公開と広聴・広報活動」、「安全確保に関する外部からの評価」が課題として示されています。

 一方、(2)国の課題では、「効果的・効率的な安全規制への取り組み」について、安全規制の判断基準である安全基準や検査の方法を、国民の安全確保という目的達成の観点から、もっとも適切なものとすることはもちろんのこと、行政資源を効率的に運用し、効果的なものとする必要があるとしています。そのため、内外の標準・規格策定組織の策定する標準や規格を活用し、安全基準や検査方法の内容に常に最新の科学的知見を反映させることが適切であると述べています。

 さらに、「地域社会、国民への説明責任」や「地方自治体との情報交換」などが課題として示されています。

 他方、(3)国と事業者に共通の課題としては、原子力発電プラントの「高経年化対応」があげられています。2010年には、運転開始後30年を超えるプラントが20基に達するなど、原子力施設の高経年化を踏まえた対策の重要性が一層増しているためです。また、「原子力防災訓練の継続」、「核物質防護、有事対応」なども課題としてあげられています。

 最後に、「今後の課題」においては、新計画策定会議は、安全の確保に関する人材の確保、放射線医療等の現場における法令遵守と技術、安全知識の管理、国及び事業者と国民の双方向コミュニケーションに関する「安心」の議論とNGO(非政府・非営利組織)等の活用、などについて必要な施策の方向性を検討していくこととしています。