◆中国の地下資源の現状 地質部門インタビュー

  (人民網日本語版、2005年1月31日)

  中国地質調査局の孟憲来局長が中国の地下資源をめぐる状況について、このほど取材に応えた。

――中国は土地が広く物産が豊かで資源が豊富だとする見方もあれば、中国の地下資源は危機に瀕しているという見方もある。現時点の調査結果からみれば、国内の地下資源はどれくらいか。

  二つの見方はいずれもも一面的で、中国の基本的な国情や発展の理念に合わない。いくつかのデータから回答しよう。中国はすでに確認された地下資源の総量が多く、世界の12%を占め、米国とロシアに次ぐ世界3位だ。しかし1人当たりの資源量は不足しており、世界平均のわずか58%、世界53位だ。全体としては、中国は人口が非常に多く、資源が相対的に不足する国であり、現代化推進の中で科学的な発展観を徹底的に実施し、新しいタイプの工業化の道を歩み、持続可能な発展に向けた戦略の実施に力を入れる必要がある。

――このように人口が非常に多く、資源が相対的に不足する現状をどのようにみるべきか。

  現在、中国はすでに小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な構築を進め、現代化を加速する新たな発展段階に突入した。実際の状況からみて、経済・社会が持続的かつ急速に、バランスよく健全に発展するには、より多くの鉱物資源を消耗する必要がある。

  資料によれば、ここ数年、中国の急速な経済発展に伴い、石油・鉄・銅・アルミニウムといった重要地下資源の消費量が大幅に増加し、地下資源の消費量の増加が地下資源の埋蔵量確認のペースを上回るという状況が出ている。国内の供給不足により、地下資源の輸入量も増加し続け、貿易赤字が絶えず拡大している。

  地下資源の対外依存度が高くなりすぎると、国の経済の安全性や持続的発展に影響を与える。中国の重要地下資源の不足は、すでに経済・社会の持続可能な発展を制約するボトルネックになっている。このことから、地下資源の集約的利用の水準向上や、地質調査活動のさらなる強化に努める必要がある。

――中国の地下資源は、これからの社会・経済の発展に向けた、しっかりした保障になり得るか。

  地下資源は地球全体に分配された資源だ。いかなる国も、自国の資源の開発・利用だけで発展に伴うニーズを満たすことはできない。国内・海外という「2つの資源、2つの市場」の利用は、経済のグローバル化という環境における各国の経済・社会の発展に当たり、真剣に考えなければならない重要な道筋となる。しかし現在、中国の海外資源開発への参加は不十分で、海外資源利用の方法は画一的だ。世界貿易機関(WTO)加盟がもたらした有利な条件を十分利用し、地質学の国際的協力や交流をさらに強化し、海外資源を有効に利用する必要がある。同時に、国内の地下資源の調査・評価をさらに強化し、資源の確保能力を高める必要がある。中国は双方が利益を得る形を積極的に模索するべきだ。他者にすべて依存したり、他者から制約を受けたりしてはならない。

  周辺諸国には、商業ベースでの調査・開発の奨励や促進が待たれる戦略的資源が豊富にある。地下資源の厳しい需給状況に向き合い、国内資源に立脚しながら国内外の2つの資源を合理的に利用する姿勢を堅持し、戦略的な調査を強化し、商業ベースでの地質関連事業の発展を促進すれば、地下資源不足の問題には有効な解決策が見つかるだろう。(編集KS)
 
(提供:熱田利明氏)