◆もんじゅ改造を了解 知事、文科相に伝える 

    (福井新聞  2005/02/06)

 一九九五年十二月のナトリウム漏れ事故を起こし停止している核燃料サイクル開発機構(核燃機構)の高速増殖炉「もんじゅ」について西川知事は六日、県庁で中山成彬文部科学相と会談。運転再開の前提となる改造工事の着手を了解すると伝えた。県は七日にも核燃機構に正式に了解を伝える。事故から十年目で、もんじゅは運転再開へと歩み出した。

 国は既に改造工事を認可しており、核燃機構は年度内にも準備工事に取りかかる。ナトリウム漏れの早期検知や拡大抑制、蒸気発生器の安全対策、温度計の交換などの工事を約二年間で終え、〇七年にも運転を再開する見通しだ。

 会談で中山文科相は、県が進めるエネルギー研究開発拠点化計画への積極的な協力や、核燃機構と日本原子力研究所(原研)が統合する新法人がもんじゅを中核業務として推進することを支援するなどと説明。「もんじゅは高速増殖炉開発の中核施設。新原子力開発利用長期計画でも最終的に再確認され、積極的に推進されるよう最善を尽くす」と述べ、改造工事着手への知事の判断を求めた。

 知事は、国の安全審査や県の安全性調査検討専門委員会で改造工事の安全性が確認されている点に加え▽国のエネルギー・原子力政策の中でもんじゅの位置付け▽県のエネルギー研究開発拠点化計画の具体化▽新法人での敦賀本部やもんじゅの位置付け―を挙げて「文科省としての責任ある立場での考えを聞いた」と評価。安全協定に基づき二〇〇〇年十二月に提出された改造工事計画を了解すると答えた。

 知事は「原子力政策は安全確保や、国民の信頼感があってこそ進められる。責任を持ち核燃機構、新法人を指導したもらいたい」と要望。中山文科相は「改造工事を含めもんじゅの安全性に万全を期すよう徹底したい」と述べた。

 一方、もんじゅの原子炉設置許可の無効確認を求めた周辺住民らによる行政訴訟は、名古屋高裁金沢支部が一昨年一月に原告全面勝訴の判決を出したが、国側が上訴。三月十七日に最高裁で口頭弁論が開かれる。西川知事は「行政上の措置と司法の判断は必ずしも直結しない」として、切り離して判断する方針を示してきた。