◆「もんじゅ」県が核燃機構へ了解伝達 秋から本体改造工事 
    (福井新聞 2月9日)

 高速増殖炉「もんじゅ」について県と敦賀市は七日、核燃料サイクル開発機構(核燃機構)に対して改造工事の了解を正式に伝えた。核燃機構は年度内に準備工事に着手し、秋ごろには本体の改造工事に入る考えで、計二年間の工期を見込んでいる。県は運転再開までの節目ごとに報告を求め、問題がないか確認、判断していく方針を示した。

 改造工事計画に対する事前了解願は安全協定に基づき二○○○年十二月に提出され、翌○一年六月に県、敦賀市は安全審査入りを了承。○三年十二月に国が改造を許可し、地元の了解が最後の手続きとなっていた。

 西川知事が中山成彬文部科学相に改造工事への了解を表明したことを受け、県の旭信昭県民生活部長は殿塚猷一理事長を呼び、了解の書類を手渡した。

 旭部長は「改造工事と運転再開は一連の事柄だが、節目で一つずつ着実に確認しながら、県民に理解できるような判断をしていく」と述べた上で改造工事に当たり▽品質保証活動や保守点検体制の恒常的な充実強化▽高速実験炉「常陽」の実績を分析しナトリウム系配管の点検計画を策定▽国の原子力総合防災訓練をもんじゅで実施―など十項目で対応を求めた。

 殿塚理事長は、安全確保を最優先に品質管理、情報公開に努めると答えた。面談後の記者会見でも「きょうを核燃機構が出直す日とし、十年を取り返すために最大限の努力をする」と決意を述べ、もんじゅ建設所では職員と協力会社社員約四百人を前に「十年間のつらい思い出を糧に、復活の日を迎えるんだという気持ちで仕事に励んでほしい」と訓示した。

 河瀬一治市長は岸本洋一郎敦賀本部長に「もんじゅ周辺環境の安全確保等に関する協定書」に基づき了解するとの文書を岸本本部長に手渡し、「運転再開とは明確に切り離し、工事のみを了承する」と口頭で伝えた。

 ナトリウム漏えい事故後の対応に問題があったことや住民の信頼を得ていくためとし▽安全性確保を最優先とし確実に実施する▽住民への迅速かつ的確な情報提供▽エネルギー研究開発拠点化計画への協力―など十二項目を要請した。

 了解された改造工事の内容はナトリウム漏れの早期検知や拡大抑制、蒸気発生器の安全対策、温度計の交換など。三月から資材搬入などの準備に入り、九月ごろには本工事に取りかかる見通し。約二年の工事後、健全性確認などに一年を予定している。


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◆県の「もんじゅ」了解に反対派、相次ぎ抗議 県や敦賀市へ 
   (福井新聞 2月9日)

 西川知事が高速増殖炉(FBR)「もんじゅ」の改造工事を了解したことを受け、県内の原発反対グループなどは七日、相次いで県や地元敦賀市に対し、抗議要請を行った。

 県原子力安全対策課には、原発反対県民会議の小木曽美和子事務局長をはじめ、社民党県連合の代表ら五人が訪れ、県内八団体の知事あて抗議文書を森阪輝次課長に手渡した。

 同会議などは、運転再開しないよう求めた二十二万人分の署名を栗田前知事に提出しており「大多数の県民世論にそむいた了解」と指摘。「もんじゅが動けば何が起きるか分からない。未熟な技術に人々はおびえている。県民の声を聞き入れる県政を進めてほしい」などと要請し、最高裁判決を待たずに工事を認めたことに抗議した。

 また共産党県委員会も「県民に説明責任を果たさないまま、改造工事を認めたことは県民への背信」とし、新法人に移った際の人員削減や経費節減は完全管理に影響が出るなど問題点を挙げた抗議文書を、佐藤正雄県議らが森阪課長に手渡した。

 「高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会」の吉村清代表委員は河瀬一治敦賀市長に抗議文を提出した。

 抗議文では、「(もんじゅの行政訴訟の)司法判断で示した安全審査に欠陥があった点は今回見直していない」と批判。「市民の不安を解消することは困難」とし、「市民の不信、不安にどう答えるか明らかにすべき」と要望している。

 吉村代表委員は「『もんじゅ』の位置付けは、国の原子力開発の選択肢の一つとして扱われる程度で先行きは不透明。事故が起きたら市長は責任を取れるのか」と糾弾した。