◆アラスカに超小型原発 東芝製が有力候補に
 (東京新聞、2005年2月12日)
 
 【ワシントン=共同】米アラスカ州の小さな村に、東芝が超小型原発(出力約一万キロワット)を建設する計画が検討されていることが十一日、明らかになった。地元関係者らによると、東芝側は「約三十年間燃料交換が不要で、遠隔地の電力を賄うのに適している」と売り込み、村も誘致に前向きだ。

 早ければ二〇一〇年の運転開始を目指しているが、米原子力規制委員会の認可が取れるかどうかは未確定。日本の高速増殖原型炉もんじゅと同様、水と触れると爆発的に反応するナトリウムを冷却材に使うため、環境保護団体などからは安全性への懸念の声が上がっている。

 現地は、アラスカ中部を流れるユーコン川沿いにある人口約七百人のガリーナ村。村内に大きな道路はなく、川の氷が解ける夏季だけ運航できる船と飛行機が主要な輸送手段だ。電力はディーゼル発電で賄っているが燃料輸送費などの負担が重いため、村が代替策を検討。複数の方法を比較したアラスカ大などの調査で、東芝の原子炉が有力候補になった。

 この炉は、離島や遠隔地での需要を狙って電力中央研究所と東芝が共同開発を進めている。東芝の説明や関連資料によると、燃料に濃縮ウラン、冷却材にナトリウムを使い、原子炉を地下に埋設して運転する。運転寿命の三十年間、燃料交換が不要で、核拡散に対する懸念も小さいという。

 だが反原子力団体NIRSのポール・ガンターさんは「アラスカの土地は今後、地球温暖化の影響で川が増水するなど予測不能な多くの変化が起きる可能性がある。開発初期の原子炉を埋設するのに適した場所ではない」と指摘している。
 
(提供:熱田利明氏)