050217  京都議定書の発効に際して: 小泉首相のメッセージほか


昨日、京都議定書が発効しました。本日配信の「小泉内閣メールマガジン」(第176号)から
2つご紹介しておきます。ご参考まで。--KK
 
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● 京都議定書の発効

 小泉純一郎です。

 昨日16日、地球温暖化を防ぐための京都議定書が発効しました。8年前
にこの議定書が採択された京都の国際会議場には、議定書作成に努力した世
界各国の関係者や一般市民が集まり、記念行事が行われました。私も、官邸
からテレビ会議で参加しました。

 地球温暖化の原因と考えられるのが、私たちのふだんの生活からも発生す
る二酸化炭素などの温室効果ガスです。このまま温室効果ガスの排出を続け
れば、地球規模で、そして将来の世代にわたって、さまざまな影響が生じま
す。

 日本は、議定書の採択以来、一日も早く発効するように、各国に参加を働
きかけてきました。地球温暖化防止のために世界が協力していく枠組みがよ
うやく発効したことを心から歓迎します。

 日本は、世界の先頭に立って地球温暖化対策を進めていきます。日本には
太陽光発電や燃料電池、低公害車など優れた環境技術があります。こうした
技術を各国へ普及し、地球規模での温暖化対策に貢献していきたいと思いま
す。

 米国など温室効果ガスを多量に排出している国でいまだに京都議定書を批
准していない国がありますし、中国やインドなどの国には温室効果ガスの排
出削減目標を達成する義務がかかっていません。今後は、より多くの国が共
通の仕組みのもとで温暖化防止のために協力していけるように、努力してま
いります。

 日本は、温室効果ガスの排出を、2008年から2012年の5年間の平
均で、1990年レベルから6%削減する義務があります。2002年は、
逆に8%増えましたから、合計で約14%削減しなければなりません。

 日本の削減目標の達成は決して簡単ではありませんが、政府の公用車を3
年間ですべて低公害車に切り替えたように、これからも政府が率先して対策
をとるとともに、国民一人ひとりの行動を支援して、温暖化防止に向けた行
動の輪を広げていきたいと思います。

 京都議定書の発効は、地球温暖化防止に向けた大きな一歩です。かけがえ
のない地球を子や孫の世代に、より美しく保全していくために、世界のみな
さんとともに協力していきましょう。

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● 京都メカニズム

 昨日、先進国の温室効果ガス削減の数値目標を定めた「京都議定書」がい
よいよ発効しました。「京都メカニズム」とは、温室効果ガスの削減を国際
的に連携して確実に進めるための仕組みとして議定書で定めたもので、「ク
リーン開発メカニズム(CDM)」「共同実施(JI)」「排出量取引」の
3つからなります。

 「クリーン開発メカニズム」とは、例えば、日本とタイが協力してタイ国
内でゴムの木の廃材による発電をするなど、先進国と途上国が共同で排出削
減に取り組んだ場合、これによる温室効果ガスの削減分を投資国(日本)の
削減分とする仕組みです。

 「共同実施」とは、例えば、日本とロシアが協力してロシア国内の古い発
電所を排出ガスの少ない発電所に建て替えるなど、先進国同士が協力してプ
ロジェクトを実施した際に、これによる温室効果ガスの削減分を、投資国
(日本)の削減分とする仕組みです。

 「排出量取引」とは、目標以上に排出量を削減したり、森林などによる吸
収量を増やした先進国と他の先進国との間で、排出枠を売買する仕組みです。

 我が国のようにすでに省エネ対策が進んでいる国では、国内のみで目標を
達成することは困難です。一方、効率改善の余地の多い国では、温室効果ガ
スを減らすための経済的コストが低くなります。こうした国の間で投資や取
引といった市場メカニズムを活用する点が京都メカニズムの特徴です。

 現在、政府の地球温暖化対策推進大綱では、削減目標6%のうち、0.5
%は産業部門などからの排出量を削減することで、3.9%は森林による吸
収量を確保することでそれぞれ対応し、残りの部分について京都メカニズム
を活用することとしています。
 
 地球温暖化を防止するために、我が国が持つ優れた環境技術を京都メカニ
ズムやその他の国際協力を通じて途上国などに普及し、地球規模での温暖化
対策の推進に貢献していく必要があります。

※ 環境省ホームページ(京都メカニズム情報コーナー)
 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/index.html