050218  高速増殖炉開発問題: 石井 亨氏の意見
1.総論
・2030年の時点では何時でも実用炉が建設出来る技術レベルに到達しておく必要がある。
・そのためには実証炉は2015〜2020年頃までに建設すべきである。この時期より遅れるのであれば実証炉計画はスキップして「もんじゅ」を最大限活用して実用炉に備えるべきである。
・長計策定委の方針はJNCの現行路線を黙認し看過するだけで2015年まで無為に過ごすように見受けられる。
時間と金の無駄遣いにならないようにするために、今こそJNC路線の是非を問うべきである。
 
2.経済性
・経済性はあくまで相対評価の場で語られるものである。従ってFBRの経済性を現行の軽水炉をベースに目標設定するがごとき絶対評価の場におくことは誤りである。
・FBRの存否はすべて経済性に依拠するものであろうか。やはり資源論を中心におくべきである。
・経済性を左右する要因をすべて洗い出し、それぞれに対し対策を立てていくべきである。現状では決めうち的に建設費しかも物量だけが問われている。
 
3.技術開発
・経済性向上=建設費低減=物量低減=機器・設備のコンパクト化はJNCの研究開発費を引き出すための大義名分に過ぎない。
・現行のJNC調査研究の内容は建設費低減の名の下に信頼性・保守性さらにはおかしな事に経済性までをも阻害するような非常にゆがんだものになっている。
・建設費低減は発電コスト低減への寄与度は小さいと思われるが、どうしてもやりたいのであれば、ファイズ。で得られたプラント概念をベースにプラントの試設計を行う事が先決である。
・今後の技術開発は「常陽」「もんじゅ」を下敷きにしての安全性・信頼性・保守性(稼働率向上策含む)の向上に努めるべきである。
 

  石井 亨