050218  Re: 鹿児島県笠沙町長と高レベル廃棄物処分場問題) 豊田正敏氏のコメント


標記メール(2/18 木村正彦氏)に対し、豊田正敏氏から次のようなコメントをいただきました。ご参考まで。 
若干本題からずれてきたように思われますので、できるだけ建設的な方向へ、さらなる議論の展開を期待しております。

--KK

 

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木村氏は、廃棄物処分概念について全くお判りになっていないでこのような議論をしている点は極めて遺憾である。

高レベル廃棄物の処分概念は、廃棄物を地下数百メートルの安定した地層(岩盤)に埋設することにより、長期間に亘り、人間環境から隔離することである。その考え方は原子力安全の基本である多重防護、多重バリアの考えに基づき、
  @ 高レベル廃棄物をオーバーパックと呼ばれる金属製の容器に封入する。

A       オーバーパックを機械的(地震などの短期荷重、岩圧及びオーバーパックの腐蝕膨張に伴う長期貯蔵に対してオーバーパックを保護するため)及び化学的緩衝材としてのベントナイトで囲む。

B       ベントナイトで囲まれた高レベル廃棄物は地下数百メートルの安定した岩盤に埋設する。

 

  木村氏の指摘しているオーバーパック健全性については、使用済燃料を直接処分する場合には、燃料の間を鉛または銅で充填し、オーバーパックとしては、炭素鋼の容器に銅または、チタン合金の外張りを施すことにしている。銅またはチタン合金は、酸素の含有量の少ない地下数百メートルの地下水に対して数十万年もつことが確かめられている。然し溶接を放射線下で遠隔自動で行う必要があるなどにより、一部の放射能が漏れ出すことを考慮して、上述のようなベントナイト及び岩盤による多重バリアとする必要がある。ガラス固化体の場合、わが国では、オーバーパックとしては、炭素鋼の容器が考えられているが、これでは、腐食速度が0.01mm/年であるが、腐食の不均一を考慮し、0.02mm/年とすれば、腐蝕代は5000年で10cmとなり私としては、不十分と考えている。即ち、5000年ではガラス固化体の放射能がかなり高く、少なくともガラス固化体の摂取有害度係数(放射能の有害度)が天然ウラン鉱石並になる5万年程度になるまで、放射能をオーバーパック内に閉じ込めておく必要があると考えている。そこで、JNCに対してチタン合金G17の外張りをすることについて検討することを要求し、JNCでチタン合金(私の考えていたG17ではなく、G12である点に問題が残っているが)で外張りした炭素鋼容器のオーバーパックの試作をしている。

 

 以上のように、安全対策に万全をしているが、残念ながら、原子力関係者の中にも十分理解していない人がかなりいる上に、一般国民に対する理解活動も不十分であり、9割以上の人がNIMBYシンドローム(not in my back yard自分の裏庭に持ってこられるのはご免)もあって、立地は難しい。

 
立地の手順としては、先ず、一般国民特に、立地の可能性のある地域住民の7~8割が理解を示すよう、草の根的双方向対話による理解活動に努め、市町村から公募に応ずるという申し出があった場合、前回説明したように、その土地が処分に適しているかの検討を行い、適地であると確認されれば、非公式に知事など2~3の県幹部に、その土地に処分場を設置した場合の具体的レイアウトを示しながら安全に処分できることを納得してもらえるよう時間をかけて説明することが必要であり、市町村からの誘致の意思表示は県知事の了解が得られた後に行うべきである。それを松岡氏のように、このような非公式の説得もしないで、いきなり、国の方針に従わないのはけしからんと県知事を難詰する態度では、何処の県知事も了承することはありえないと考える。木村氏も門外漢であるからと言って「高レベル廃棄物問題=立地問題にすり替える議論は全くナンセンスな問題である」などといいかげんのことを言うことは慎んでほしい。以上
 
----- Original Message -----
From: Kumao KANEKO
To: Undisclosed-Recipient:;
Sent: Monday, February 14, 2005 6:59 PM
Subject: EEE会議(鹿児島県笠沙町長と高レベル廃棄物処分場問題) 松岡強氏⇔豊田正敏氏: 木村氏のコメント

皆様
 
標記テーマをめぐる松岡・豊田両氏の論争に関して、木村正彦氏から
次のようなコメントが寄せられました。ご参考まで。
--KK