050222  「水素社会とは?」  石井吉徳氏から情報とコメント

石井吉徳氏から次のようなメールをいただきましたので、添付ファイルと共に転送いたします。ご参考まで。
なお、この情報に関連して何かコメントなり関連情報等のある方はどうぞ。
--KK
 
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先に内輪のフォーラムで、下記を発信したところ、反響が大きいので広く各位にも転送します、ご参考まで。--石井吉徳
 
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各位
日本で今水素エネルギーが大流行です。あたかも水素社会で人類は安泰と言わんばかり、もう水素でないと予算がつかないほどです。
 
この水素社会の考えは、元々アイスランドで地熱利用でスタートしたものです。アイスランドは海底が裂けつつある火山活動の真上に位置する国です。この人口も少ない小島でProfessor Hydrogenと称される化学者が、水素社会を推進しました。アイスランドではうまく行ったようですが、それは自然エネルギーが豊富だからです。それがヨーロッパに、そして日本に広まったようです。
 
の意味を考えないで、水素は二酸化炭素を出さない「究極のエネルギー源」と言う人が多いようです。水素と燃料電池が組み合わせるハイテク性に、人々が飛びついた、今では水素はクリーン、未来技術の代名詞とすらなった?日本の故小渕総理もアイスランドを訪問、或いは訪問させられたようです。頭の良い人たちがいたのでしょう。
 
ですが、さすがに最近、良識が戻ってきたようです。アメリカでも[The Hype about Hydrogen]という、元クリントン政権時代に水素を推進した中心人物による本が出ています。これすら短期、中期に見ても水素は時期尚早と言うのです。
 
本メールに、いくつかの添付ファイルを付けました。そのうちのワールドウオッチうWWIのものは、アイスランドでの経緯を書いているので添付しました。これは推進派の典型です。それ以外は水素、水素社会の本質について語っています。
先ず水素はエネルギー源ではない。「自然エネルギーから」は意味はあるが、「化石燃料から水素」はやってはいけない。
次いで、エネルギー変換は必ず損失が伴う、徒に水素にしてはいけない、自然エネルギーで発電した電気はそのまま使う、バイオマスからのメタンもそのまま燃料とするのが良いというのです。
 
特に運輸用は、水素ではなくエタノールなどの常温で流体が望ましい、現代の社会インフラをそのまま利用できるからです。また「水素と燃料電池の組み合わせ」の総合効率は、今のハイブリッド車と同程度だそうです。車、船、航空機用の燃料、そして現在の既存の燃料供給システムなど、現代社会のインフラを捨てないですむ。これからの石油減耗、石油ピーク時代、そのような浪費、無駄をする余裕などない筈です。
 
「水素の元素としての性質」もよく理解する必要がある。元素としての水素利用の問題は技術以前のこと、燃料電池も慎重にと言います。日本の国研、そして大学も水素の本質、意味を真剣に考えて欲しいと思います。
 
最近、日本学術会議が1次、2次の科学技術基本計画に沿った研究が、欧米に較べ効率が悪いと批判しました。その報告全文は次のHPで見られます。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-19-te1022-2.pdf
また読売新聞も関連記事を出しました。
 
以上、ご参考まで。
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アドレスを下記に変えました
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石井 吉徳
東京大学名誉教授
富山国際大学教授