050222  核不拡散、対外貢献がより重要に‐長計策定会議・国際問題WGが初会合:  原子力委員会に望む(金子の意見)

下記の新聞報道(2/22 電気新聞)によれば、原子力委員会・長計策定会議の国際問題検討ワーキンググループが昨日(2/21)初会合を開いたようですが、そこで行なわれた議論は、専ら核不拡散の強化策についてであって、我々が期待していたような日本のアジア諸国との原子力協力関係(RI,放射線利用分野だけでなく、プラント輸出を含む原子力発電分野全般)をどう構築して行くかというような積極的かつ意欲的な意見は全く出なかった模様で、大いなる失望を禁じえません。
 
日本がIAEA/NPT体制の下、核不拡散分野で長年優等生的に努力してきたことはすでに周知の事実であって、その努力を今後も継続すべきことは言うまでもないことです。しかし、いつまでも日本自身が、いわれなき核兵器開発疑惑を招かぬよう最大限核不拡散に貢献しなければならない、というような消極的なメンタリティはそろそろ卒業すべきではないでしょうか。原子力委員会に今最も期待されているのは、例えば「エルバラダイ構想」や「ブッシュ提案」にどう対応するかというような受身の姿勢ではなく、もっとアジアの現実を見据え、その上で、日本を含むアジアのエネルギー安全保障という観点から原子力平和利用活動をどう組み込んでゆくべきか、そして、その文脈の中で日本は域内原子力最先進国としてどういうリーダーシップを発揮してゆくか、そのために政府レベル、民間レベルで何をどう具体的に実行してゆくか、というような前向きの姿勢を明確に打ち出すことだと思いますが、少なくとも21日の議論を仄聞する限り、かかる意欲的な姿勢が全く感じられないのは甚だ遺憾といわざるを得ません。
 
唯一の被爆国として非核に徹し、過去一貫して平和利用オンリーでやってきた日本だからこそ、アジアにおける原子力平和利用の推進に積極的に関与すべきであり、そうすることが、かえってアジアにおける核不拡散の実現にも資するというダイナミックな思考が今ほど強く求められることはありません。いつまでも米国の核不拡散政策の下請けをするような硬直した姿勢ではアジア諸国の信頼と期待に答えられないのみならず、かえって失望を招くものと考えます。いわんや日本の原子力産業の再生に資する所以とは考えられません。
 
今後本件検討ワーキンググループがそのような面にも十分な目配りをするよう、我々として強く期待し、要望すると共に、我々自身の原子力国際戦略研究会での検討作業を深めて、出来るだけ早期に適切な政策提言を発表することが肝要と考えますが、皆様方は一体どうお考えでしょうか? この際是非とも忌憚なきご意見、ご感想をお聞かせ下さい。匿名での配信もお受けします。
--KK
 
----- Original Message -----
From: Kumao KANEKO
Sent: Tuesday, February 22, 2005 12:36 PM
Subject: EEE会議(◆核不拡散、対外貢献がより重要に‐長計策定会議・国際問題WGが初会合)

◆核不拡散、対外貢献がより重要に‐長計策定会議・国際問題WGが初会合

   (電気新聞 2005/02/22)

 原子力委員会の原子力開発利用長期計画(長計)策定会議(議長=近藤駿介委員長)の国際問題検討ワーキンググループ(座長=内藤香・核物質管理センター専務理事)は21日、初会合を開き、核不拡散の強化について審議した。

 北朝鮮が核兵器を製造したと宣言するなど、核をめぐる国際情勢は緊張感が増している。日本としては原子力の平和利用に徹している立場から、「核不拡散へ対外的に積極的な貢献が必要」との意見が相次いだ。委員の意見を参考に、同WGは3月16日の次回会合以降、核不拡散について論点を整理する。

 国際問題検討WGの審議では、委員から「日本は核不拡散で非常に優等生的に努力してきたが、国際社会に対しても積極的な貢献がより求められている」と指摘。他の委員からも国際的により能動的な取り組みが必要との声が多かった。
 
(以下省略)