◆イラン、露と核燃料供給協定…米の反対押し切る
     (読売新聞  2005/2/28) 

 【テヘラン=緒方賢一】イランとロシアは27日、イラン南部ブシェールで原子力発電用の核燃料供給に関する協定に署名した。
 これにより、核疑惑を払しょくできていないイランは、同国初の原発であるブシェール原発の2006年夏の稼働に向けて一歩前進した。米国はイランへの核物質供給に強く反対してきたが、ロシアはこれを振り切った形だ。
 テヘランの外交筋によると、協定には、ロシアが今後10年間、ブシェール原発への核燃料を供給することが盛り込まれている。
 タス通信によると、ロシアのルミャンツェフ原子力庁長官は署名後、報道陣に対し、「協定に基づき、イランは使用済み核燃料をロシアに戻す義務があり、ロシアがその燃料を長期保存、または再処理する」と述べた。
 核物質の軍事転用に歯止めをかけたとの考えを表明したもので、同長官は「国際社会が採用している、いかなる規範、規則にも違反していない」と強調した。
 ロシアが最初に供給する核燃料の量は約90トンと見込まれる。イランが支払う金額、核燃料の搬入開始時期については、「秘密」とされている。
 ブシェール原発は、ロシアが1990年代半ばから建設に協力し、施設はほぼ完成した。しかしイランの核疑惑問題が持ち上がったため、ロシアは核燃料の供給にあたって使用済み核燃料を返還するよう要求。交渉が長引いていた。
 イランは、2020年までに発電能力を約700万キロ・ワット増やす目標を立てており、ロシアの技術支援による原発増設で電力を確保する方針だ。イランのアガザデ副大統領は27日、記者団に対し、両国の専門家が新たな原発建設について協議を続けているとし、「数か月後に、ルミャンツェフ長官と、この件を協議する予定だ」と述べた。
 一方、米国は今後も、イランに核燃料を供与しないようロシアへの働きかけを続けると見られる。

---------------------------------------------

◆カーン博士側、イランに核開発機材売り込み…米紙報道
    (同上)

 【ワシントン=菱沼隆雄】27日付けの米紙ワシントン・ポストは、パキスタンの核開発の父とされるカーン博士の関係者が、87年にアラブ首長国連邦のドバイで、イラン当局者と極秘に会談し、核兵器開発に必要な機材の売り込みを図っていたと伝えた。
 同紙が複数の外交筋の話として伝えたところでは、極秘会談には、スリランカ人実業家でカーン博士と近いモハメド・ファルク氏とドイツ語名で「ハインツ・メブス」と呼ばれる人物が出席、イラン側の高官に、遠心分離機の設計図などを売却しようとしたという。
 イランは1月、カーン博士側からの売り込みリストを国際原子力機関(IAEA)に提出したが、核兵器製造に必要な機材は購入していないとしている。同紙は、「イランの核兵器開発計画の存在を強く示唆する話だが、証明するものではない」とする西側外交筋の発言を紹介している。

----------------------------------------------

◆対北朝鮮、中国の姿勢に米不満…町村外相が見解
    (同上)  

 町村外相は27日、NHKの報道番組で、北朝鮮の核問題に対する中国の姿勢について、「米国は中国が北朝鮮に対して厳しく当たって欲しいというのであって、裁判官みたいな顔をしているのはおかしいという考えだ。(米国は)今の中国は中途半端に(米朝)両方にいい顔をし過ぎているきらいがあるのではないか(と思っている)」と述べ、米国が不満を持っているとの見方を示した。
 北朝鮮は、核問題に関する6か国協議に参加する条件として「米国の誠意」を挙げているが、米国は無条件の参加を求めている。これに対し、中国は「(6か国協議再開の)カギは、各国が誠意を持って柔軟性を発揮できるかどうかだ」(外務省の孔泉報道局長)などとして、米国にも歩み寄りを促している。