050301  ヨーロッパ原子力情報: ポーランド、イタリアの原子力活動


経済産業省の「原子力オピニオン最新情報」 の最新号( 2005/03/01)に載っていた次の記事をご参考までに。
http://www.atom.meti.go.jp/opinion/2005/03/2_1.html

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【海外の話題】

◆欧州諸国で原子力発電の見直しが相次ぐ

    ― ポーランド政府、原子力発電所の新規建設計画を承認 ―
  
<2021〜25年頃に運転開始>

 スウェーデンやドイツの脱原子力政策のため、欧州の原子力発電開発利用に対してはネガティブな印象を受けがちですが、原子力発電が欧州の基軸電源あることに変わりなく、地球温暖化防止などの観点から、最近、これまで原子力発電利用を中止・凍結していた国で原子力発電を見直す動きが相次いでいます。

 ポーランド政府は2005年1月、2025年に至るエネルギー政策について検討した閣議で、2021年から2025年の運転開始をめざした同国初の原子力発電所の建設計画を了承しました。

 閣議に提出されたエネルギー政策草案では、「エネルギー多様化と温室効果ガス排出量削減の観点から原子力発電所の建設は妥当だが、資金確保やパブリック・アクセプタンスに要する時間を考慮すれば原子力発電所の運転開始は2021年〜2025年頃になる」とされています。

 ポーランドでは、1982年に同国北部のザルノビエクで4基のVVER―440/213型炉(旧ソ連型軽水炉)が着工されましたが、1986年のチェルノブイル事故や資金不足などの影響のため、1990年に建設計画が中止されていました。

<イタリア首相、原子力凍結の転換も>

 また、同じくチェルノブイル事故の影響で原子力発電利用が凍結されているイタリアでも、2005年1月にS.ベルルスコーニ首相が、電力の安定供給の観点から、イタリアは原子力発電オプション(政策の選択)を放棄すべきではないとするとともに、「2006年の総選挙で再選されれば原子力発電に関する議論を再開することもあり得る」と述べるなど、原子力凍結政策の転換の可能性を示唆しています。

 イタリアは、チェルノブイル事故の翌年の1987年11月の国民投票の結果(5年間の原子力関連活動の凍結)を受け、同年12月に建設中だったモンタルト・デ・カストロとピエモンテの2つの原子力発電所の工事を中止しました。また、1982年3月に閉鎖されていたガリリアーノ原子力発電所に加えて、運転中だったラティナ原子力発電所が1987年11月、カオルソ原子力発電所とトリノ原子力発電所が1990年7月にそれぞれ閉鎖されました。

 このほか、現在、法律で原子力発電からの撤退が定められている国でも、2004年9月にベルギーのM.フェルウィルヘン・エネルギー相が、「エネルギー戦略の検討結果次第では、現行の脱原発法(2003年1月成立)の見直しもあり得る」との見解を表明しているほか、ドイツのE.シュトイパー・バイエルン州首相(キリスト教社会同盟党首)も2004年6月、「原子力発電で石油価格高騰と供給不安に対処すべき」と原子力発電推進という野党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のスタンスを改めて強調しており、これらの国では政権交代により現行の脱原子力政策が変更される可能性が十分あります。

              ((社)日本原子力産業会議・武井毅)





経済産業省の「原子力オピニオン最新情報」 の最新号( 2005/03/01)に載っていた次の記事をご参考までに。
http://www.atom.meti.go.jp/opinion/2005/03/2_1.html

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【海外の話題】

◆欧州諸国で原子力発電の見直しが相次ぐ

    ― ポーランド政府、原子力発電所の新規建設計画を承認 ―
  
<2021〜25年頃に運転開始>

 スウェーデンやドイツの脱原子力政策のため、欧州の原子力発電開発利用に対してはネガティブな印象を受けがちですが、原子力発電が欧州の基軸電源あることに変わりなく、地球温暖化防止などの観点から、最近、これまで原子力発電利用を中止・凍結していた国で原子力発電を見直す動きが相次いでいます。

 ポーランド政府は2005年1月、2025年に至るエネルギー政策について検討した閣議で、2021年から2025年の運転開始をめざした同国初の原子力発電所の建設計画を了承しました。

 閣議に提出されたエネルギー政策草案では、「エネルギー多様化と温室効果ガス排出量削減の観点から原子力発電所の建設は妥当だが、資金確保やパブリック・アクセプタンスに要する時間を考慮すれば原子力発電所の運転開始は2021年〜2025年頃になる」とされています。

 ポーランドでは、1982年に同国北部のザルノビエクで4基のVVER―440/213型炉(旧ソ連型軽水炉)が着工されましたが、1986年のチェルノブイル事故や資金不足などの影響のため、1990年に建設計画が中止されていました。

<イタリア首相、原子力凍結の転換も>

 また、同じくチェルノブイル事故の影響で原子力発電利用が凍結されているイタリアでも、2005年1月にS.ベルルスコーニ首相が、電力の安定供給の観点から、イタリアは原子力発電オプション(政策の選択)を放棄すべきではないとするとともに、「2006年の総選挙で再選されれば原子力発電に関する議論を再開することもあり得る」と述べるなど、原子力凍結政策の転換の可能性を示唆しています。

 イタリアは、チェルノブイル事故の翌年の1987年11月の国民投票の結果(5年間の原子力関連活動の凍結)を受け、同年12月に建設中だったモンタルト・デ・カストロとピエモンテの2つの原子力発電所の工事を中止しました。また、1982年3月に閉鎖されていたガリリアーノ原子力発電所に加えて、運転中だったラティナ原子力発電所が1987年11月、カオルソ原子力発電所とトリノ原子力発電所が1990年7月にそれぞれ閉鎖されました。

 このほか、現在、法律で原子力発電からの撤退が定められている国でも、2004年9月にベルギーのM.フェルウィルヘン・エネルギー相が、「エネルギー戦略の検討結果次第では、現行の脱原発法(2003年1月成立)の見直しもあり得る」との見解を表明しているほか、ドイツのE.シュトイパー・バイエルン州首相(キリスト教社会同盟党首)も2004年6月、「原子力発電で石油価格高騰と供給不安に対処すべき」と原子力発電推進という野党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のスタンスを改めて強調しており、これらの国では政権交代により現行の脱原子力政策が変更される可能性が十分あります。

              ((社)日本原子力産業会議・武井毅)