050303 Re:「原子力はなぜ温暖化対策にはならないのか?」−原子力エネルギー分析の例:ASPO(石井吉徳氏から)小野章昌氏のコメント

 
標記メール(3/3)に関し、早速小野章昌氏(元三井物産)から次のような和訳文(抄訳)と批判的コメントをいただきました。ご参考まで。各位のさらなる反応を期待しております。
--KK
 
**********************************************************************
 
 

ASPO資料の和訳を誰か作らないかとの呼びかけですので、ウラン消費量に触れているところもあり、とりあえず全訳してみましたので添付いたします。

この筆者は大変乱暴なロジックを使われていますので、緻密な数字を用いて意見を申し上げる必要がありますが、とりあえずの感想としては以下の通りです。

・自動車に水素エネルギーを利用する場合の唯一の方法として、水の電気分解を挙げていますが、これは風力や太陽光などの再生可能エネルギーだけに言えることで、原子力の場合には800−1,000度の「熱化学反応」を利用する専用の高速炉を作って対応することになるでしょう。この場合、米国DOEのロ-ドマップでは、1億台の自動車に燃料電池を載せるとして、100基の専用原子炉が必要としています。筆者の考える「軽水炉と電気分解の組合わせ」は実際的ではなく、、まして20,000基の原子炉が必要などというのは馬鹿げています。

・原子力のエネルギー収支をすれすれと見ていますが、経産省等に確りとしたデータがあるものと考えます。筆者は「核分裂によるエネルギー」と「化学反応によるエネルギー」の区別が付いていないように見受けられます。

・ウランの「採掘」「粗製錬」に通常のエネルギーを大量に必要とすると理解されていますが、これはどこかの具体的鉱山で調べれば、その燃料代はコストの極く一部しか占めていないことが直ぐ分かることと思います。

・基本的なところですが、時間軸を全く考慮に入れずに、突然究極的な姿として原子力発電で代替するには20,000基の原子炉が必要であって、現時点でのウラン資源量から見てそれを維持することはできず、従って原子力発電には「継続性」がないという主張はあまりに乱暴で、現在と100年後をごちゃ混ぜにしている感があります。

・筆者の理論では、「継続性」のあるエネルギー源は皆無と言えるでしょう。だから「化石燃料万能」と言いたいのでしょうが・・・。