050304  「原子力はなぜ温暖化対策にはならないのか?」−原子力エネルギー分析の例:ASPO(石井吉徳氏から): 古川和男氏の意見

 
標記のメール(3/3 石井吉徳氏)及びこれに対する2氏(小野章昌氏、某著名
門家氏)コメントに対し、古川和男氏(トリウム熔融塩国際フォーラム代表)
から、次のようコメントをいただきました。ご参考まで。
--KK
 
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下記コメントをお送り申上げます。皆様にご批判願えますれば幸甚です。
                                                             

    John Busby 論説へのコメント      

石井吉徳氏のBusby論説ご紹介は、「包括的でクールな分析」とお書きであ
るし、ASPO―Newsとして相当な世論を背景にしているのかと思います。好
きでも嫌いでも、軽々に反論して済むのでしょうか?(A)匿名「著名専門
家」や(B)小野氏よりは、私は「原子力必要論者」として、Busby氏の意
見の方に近い気がいたします。逆ではないようです。

以下、その理由を簡略に示しますと、
1)    A氏 は、原発は2100年に4〜5000基が精々だと申しま
す。すると「2050年には、2000基以下」とのお考えとして良いで
すね。これが「何を意味するか?」です。 (これが一般推進派の強気の
最大推定値、とかねがね思っていますので、問題視するのです。)

2)    すると、今の五倍で一次エネルギーの10%。しかし、その間の
一次エネルギー量増加は最低でも二倍でしょうから、5%以上では決して
ありませんでしょう?―――もし、10%であったとしても、論外ではあり
ませんか、環境対策として! そうだから、Busby氏に「偉そうな事を言う
な!」と云われるのではないでしょうか?

3)    彼は、何時とは云わず 2万基必要と言っている訳ですが、上記
の理由から「驚くのが可笑しい」のではありませんか?――― しかも彼
らはシュロウトらしく、それ程の原発を世界に展開すると、どうしても小
中型炉が要ってUは更に二倍必要になるのを知りません。 増殖炉が必要
だとなるのでしょうが、推進派方も、増殖は如何でも良いような事を
「原子力のすべて」(原産)で公然と書いてある位で、真面目に考えてい
ない節があります。さらに、彼は触れていないが、それだけの量になると
「プルトニウム」は問題ないのですか? 核廃棄物は大丈夫ですか? A
氏方は、どうお考えですか? 

4)    即ち、「長期を考えるなら、今の原発戦略には未来がない。」と
彼は言っているのです。彼を笑う余裕はなく、抜本的な改革方策が必要な
のではありませんか。 それで我々は、トリウム路線の検討を提案してい
るのです。上記全ての問題の打開策としまして。

5)    少し言い添えますと、私はMarchetti と共にlogistic-function
を利用して作った未来予測とその実現戦略においては、2050年には中
小型炉を含め現在の20-30倍量の原発を提供し、一次エネルギーの約3
0%を負担する事ができるとしています。それでなければ最小限の環境対
策とはいえないでしょう? 勿論、核不拡散や核廃棄物対策にも遥かに有
利です。(拙著:文春新書『「原発」革命』参照)

《なお、もう一つ言わせて頂きますと、そろそろ 納得いく性能を持った
実用的renewable―エネルギー技術が出てこないと、人類は來世紀を迎えら
れないのではありませんか? 今出ているような物の改良で済むはずが有
りませんから、その実現には二,三十年掛るでしょう。しかし、技術基礎
が出来ても、原子力と同じで、量質共に育ち原子力を乗っ取るのはどうし
ても來世紀になります。だからこそ、平行してもう真剣な促進策を、それ
こそ皆で真面目に推奨努力すべきで、仲間割れしている時代は終わったと
思います。 これを申しますと、混線しかねませんので括弧に入れます
が。》
                            (以上)
 
トリウム熔融塩国際フォーラム代表    
古川 和男

 
 
>Date: Thu, 3 Mar 2005 08:36:55 +0900
>From: "Kumao KANEKO" <
kkaneko@eeecom.jp>
>To: <Undisclosed-Recipient:;;>
>Subject: EEE会議: 「原子力はなぜ温暖化対策にはならないのか?」
−−原子力エネルギー分析の例:ASPO(石井吉徳氏から)
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