050308  日本の対アジア原子力輸出に異議あり!  木村正彦氏の意見 

 
EEE会議ではかねてから原子力国際協力や原子力輸出問題を重点的に議論しておりますが(最近では原子力委員会や経済産業省あたりも熱心に検討を始めたようです)、ここへ来て、日本の対アジア原子力輸出に正面から異論が現れました。いわゆる環境保護グループや反原発団体の異論と違って、電力関係者からの異論は、無視するわけにも行きません。小生自身は30年前から一貫して「日本製原子炉をアジアへ」と主張してきましたので(拙著「日本の核・アジアの核」第5、6章ご参照)、今更という感じもしますが、こういう意見が出された以上、改めて皆様でこの問題を大いに議論していただきたいと思います。「匿名希望」もお受けしますので、この際忌憚無き発言を期待します。
--KK
 
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 EEE会議は、原子力に若干偏向しているきらい
があると思います。
 開発途上国にいきなり、高度な原子力エネルギー
施設を行うのは、ちょっと無理があると思います。
 まず、十分な保守体制が確立できるかという
ことです。それこそ、最悪のケースとして、
チェルノブイリを世界中にばらまく結果に
なる可能性も含んでいることは、リスク
管理上当然覚悟しなければならないと
考えます。
 我が国の原子力発電は、昭和41年に日本で
初めて商業用の原子力発電所を営業運転させて
以来、先輩の方々の弛まぬ努力の上に立った、
40年近くの実績に成り立っています。
 それは、電力会社だけでなく、重電メーカー
各社、各種工事会社、そして関係行政機関など
のご協力があっての、40年であると思います。

 それをいきなり、関連産業も未発達な開発
途上国にもっていくことは、放射性汚染源を
ばらまく結果になると考えます。
 まず、開発途上国の実情に合わせて、水力、
火力(燃料は、地元の燃料となる廃棄物、例:
もみ殻発電など)で、発電事業を地元で萌芽
させ、それから最も高度な「原子力発電」に
挑戦してもらうことがまず第一歩であると
思います。
 当然、原子力について、開発途上国の研修生
の方に理解してもらうことは大切ですが、高価
かつ高度な原子力エネルギーを扱ってもらうのは、
水力、火力、新エネルギーを十分勉強してもらって
からで十分であると考えます。

 開発途上国で増加したCO2の排出量を、地球
規模で減少させるのが、我が国を含めた先進国の
役割であるし、我が国の就業構造で、エネルギー
関連に従事される人が増えることを熱望します。
 これは、「エネルギー」の他に、「食料」、
「水」にも、若いフリーターでブラブラしている
人が従事してもらいたいと考えます。

 日本の国家的課題は、いっぱいあります。つまり、
若い人たちに真剣に取り組んでもらわなければなら
ないことは、山積みされていると思うのですが…。
 何しろ、欧米諸国に経済封鎖され、60年前に
戦争の道を選んだ愚は絶対にやめてもらいたいし、
戦争しても今の若者の体たらくをみたら、絶対に
戦争には勝てないと思いますが…。

 原子力だけが、エネルギーの道ではなく、有力な
選択肢の一つであるということであると思います。

 EEE会議会員各位のご意見を頂戴できれば、

幸いです。
      
         木村正彦