050315  Re: 「我が国の高速増殖炉開発に関する再提言案」(第1次案)に対するコメント:  伊藤和元氏

 

標記提言案(第1次案)に対し、伊藤和元氏(JNC特任参事、敦賀本部もんじゅ建設所長)から次のようなコメントと修正提案をいただきました。修正提案はこのように具体的に、かつ赤字で書き込んで下さると助かります。(「書式」で「リッチテキスト(HTML)(R)」を選択すると赤字で書けます。)

--KK

 

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我が国の高速増殖炉開発に関する再提言(1次案)に対するコメント(特別会員 伊藤和元)

 

 1.本提案への具体的コメントは赤字部分の追加です。

@『4.実証炉建設資金:国が主として負担すべきである ・・・・翻って世界の現状を見ると、高速増殖炉の開発がロシア、中国、インドという資本主義国家とは異質の国において、国家予算を投入して進められている事実に思いをいたす必要がある。原子力先進国を自負するわが国としても、国が開発資金を出して高速増殖炉の開発を進めるべきであろう。また燃料サイクル技術の開発を実証炉開発と整合を持たせて進めるべきである。

A『5.建設主体の早期決定:国の補助金と電力会社中心の体制が最も現実的である・・・・高速増殖炉計画は当初からJNCが主体となって開発を進めてきたため、それ以外の組織では一貫したノウハウを所持していないという事情、また燃料サイクルの技術開発と整合性を図るべきことを考慮すれば、この建設主体にはJNCのプラント計画に携わってきた主力メンバーを取り込むことが極めて大切である。』

2.全体について:

実証炉開発の技術的側面は、本案の通りと考えます。しかし、現実に「もんじゅ」を進めて感じることは『いくら優れた技術があっても、技術を発揮できる「場(環境)」がないと開発はなかなか進まない』ことです。法令や制度を開発が進み易いように整備したり、世論形成にも力を注ぐ必要があると思います。原子力委員会への提言としては不適切と思われますが全体的な所感を記します。

 

A)実証炉の立地・建設・運転は、開発主体(資金を出す者、建設・運転の主体、メーカ体制)を決めただけでは進まないと思います。国政での議論、社会の世論(マスコミ論調)、立地自治体の理解・協力が無いと「もんじゅ」と同じ苦労を味わい、長期間を費やすことになります。

 

具体的には、

加納時男議員が中心となって纏められたエネルギ−基本法について、その下の政令を国会審議を経て整備し、例えば、所管省庁を決め、地方自治体の責任を明確にする。

立地自治体の協力(少なくとも、県益の都合で開発を遅らせないこと)を得る仕組みを作ること。例えば、実証炉の発電量に応じた補助金交付(これを基に地域産業育成用や自治体広報の資金とする)など。そうしてこれを条件に立地自治体を募集するなど。

 理解促進のためのリソ−スを計画段階から確保しておくこと

 

B)炉だけ開発しても、燃料サイクル側が着いて来ないと経済性を含めて全体として上手く行かない。

 

C)設計・建設の時点で最高の技術レベルを導入することになると思いますが、メンテナンス経費を合理的にするためには、コンピュ−タ、電気部品、制御用設備はできれば汎用品で、また機械要素(配管、弁、容器)についてもメーカ各社が共通の仕様、極端には材料の微量元素の成分調整まで、とすることが望まれる。

 

 3.その他:

サイクル機構(統合後は原子力開発機構)が実証炉開発に参画するため為には、新法人の法律に『高速増殖炉の開発(実証炉を建設することにより行うものは除く)及びこれに必要な研究』の記述がありますので、その部分について改正が必要になると思われます。