050318   「我が国の構想く増殖炉開発に関する再提言」案(第1次案)に対するコメント: 石井陽一郎氏


標記提言案に対する石井陽一郎氏のコメントです。 このコメントは、昨日開かれた本提言案に関する作業部会で石井氏が述べられたところを改めて纏めて下さったものと思われます。昨日の会合に出席され、意見を述べられた他の方々からも、同様にご意見をメールにして送って下さると助かります。益田恭尚氏takmasudajp@ybb.ne.jpと小生宛によろしく。
--KK
 
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標記について別添朱記書きのコメントを送ります。 書いては見たものの釈然としない所も多いのが実感です。 以下そのあたりに少し言及したいと思います。
 
1、FBR実証炉の具体的推進と資金 
 
1−1 今世紀は電気エネルギーに関する限りPu経済の中にあるとほとんど認識されていると思われる。 ゆえにFBRにつながるわけで安全性、経済性(建設費、プラント運営コスト、サイクルコスト)をある程度つめた段階で,諸賢同様具体的にGoとすべきものと考えます。 つまり70点くらいなら実証炉着工を前提に行動を起こしし、80点以上に高めるべく努めて建設準備に入る、というものです。 原案で全く新規地点を例として取り上げやたら長い工程を心配するのはいかがかと思います。
・2020年頃に、もんじゅ運転ならびに実証炉(計画であっても)の進展がなくては適切な原子力政策はとれない。FBRといえども他の炉との相対比較の上で決まるはずです。そのときFBRの実績こそが重要な判断材料になります。
 
1−2 現在FBR実証炉は経済性においても不確かであるとはいえるでしょう。よって国(経済産業省、管轄)から補助金をいれるのはやむをえない。 しかしながら実証炉が商用に準ずるものであるゆえに、軽水炉との比較において、電力としても応分の負担が要るのではないでしょうか。 現在自由化がたいへんであるとはいっても、それら電源は大部分が化石燃料に依存する以上、コスト比較においても量的(原発更新の際、代替の自由化電源が簡単に出てくるとは考えにくい)にも原発が勝る可能性は高いと考えます(ただし短期間の勝負ではなく、原発ライフ20年以上)。 実証炉資金をを100%国 の負担とすると船は山に登ったきりになる可能性が高いと思われます。 原案で自由化・・・の文は一考を要すると思います。
 
1−3  石油価格高騰の懸念を取り上げているのは分かります。 現状ではわが国の全発電電力量(kWh)のうち、石油によるものは15%(2000年)でkWhに占める分としては主要国中で世界一(2位は韓国8.4%)ですが驚くほどではなさそうです。、むしろLNGもいずれ値が上がると思われます。このほうがシェアが大きいだけ(22%-2000年)ボデイブローのように効くものと思われます。
したがってわが国の一次エネルギーに占める石油の割合50%の大部分は、一般産業、輸送、民生に使われていることになります。石油価格の影響はこちらのほうが影響は深刻でしょう。
豊田氏(元東電副社長、原燃社長)の・・・電気は石油の完全な代替にならず・・・(益田氏⇔豊田氏3.17メイル)はそのあたりを示唆していると思われます。
・石油価格の高騰ばかりいうと、軽水炉で当分は良いではないか、なぜFBRなのか になりませんか。
 
2、原子力の適切なシェア
 
  ・3.17益田⇔豊田メイルで触れられておりたいへん興味深い。 ベストミックスから5割程度(豊田)、フランス並み(77%益田)を目標。日本の現状がkWhベースで30%位(世界第三位)なので現在のわが国の原発シェアが低いことになり、全く同感です。  軽水炉→高速炉のロジックを補強するものでもっと強調してもよいと思います。  
・私としてつけくわえれば、過日の炭酸ガス抑制の話(     氏)でフランスは原発による抑制を出していながら、日本は省エネに肩入れしすぎており、明らかに効果(経済性を含む)は少ない。しかも効果的な原子力比率増加の話が全く環境部門に通っていないのには唖然としたしだいです。 原子力関係者のPRも不足なのでしょうか。 もう一つの鍵は深夜電力の比率ー約50%です。今後増分コストの安い原子力ー平たく言えば週末原子力を絞って稼働率を落とすのはまずいーを環境対策を含めあらゆる分野に活用することが国益になると考えます。
・よって現状原子力30%のシェアは低すぎる、国を挙げて高めていくべきであると思います。
 
3、核燃料サイクル
 
・3.15伊藤和元氏の、「・・・燃料サイクルと整合性をもたせて進むべき・・・」は賛成です、いやむしろ本文においてもっと強く書きこんだらいかがでしょうか。
 
4、提言の時期について
 
・なぜこの時期に標記の提言をするのでしょうか、今ひとつわかりません。 確かに昨今出された原子力委員会は方向付けすらなく、先送りに過ぎると感じます。 せめて もんじゅの具体作業の進展と、研究開発のすり合わせの状況、電力自由化の動向を見てからでも遅くはないのではないかと思います。 急いで提言するあまり「狼少年」になることを心配します。
 
石井陽一郎
Tel・Fax:045 891 1279 
 
To: Undisclosed-Recipient:@nifty.com;;
Sent: Saturday, March 12, 2005 7:17 AM
Subject: EEE会議: FBR再提言案(第1次案)に対するコメントのお願い  <重要>