050518  Re:高レベル放射性廃棄物の最終処分地調査問題 〜なぜ国有地・国立公園等も対象としないのか?

 
標記メール(5/18)で小生が提起した疑問に対しては、複数の方々からご回答をいただきましたが、いずれも、高レベル放射性廃棄物の最終処分地調査は極めてデリケートな問題であるからEEE会議でオープンに議論するには不適当、ということですので、配信は差し控えます。その中で、次の匿名希望氏からいただいたご意見も、「私個人の解釈によるものであり、国及びNUMOの公式見解とは若干異なる可能性がありますので、その点ご留意を」という注釈がついておりますが、ご参考までに披露させていただきます。--KK
 
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 私の理解では、国有地や国立公園が制度的に調査対象から除外されているという
ことではないと思います。

 ご承知のように、日本では「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」がH12年
の6月に公布されており、この中で、原子力発電環境整備機構(NUMO)が特定放射
性廃棄物の最終処分実施主体とされているほか、文献調査〜概要調査地区の選定〜精密
調査地区の選定〜最終処分施設建設地の選定等に関する要求事項が定められています。

 この中で重要なのは第4条5項で、経済産業大臣が最終処分計画で調査地区を定め
ようとするときは「当該調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の
意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない」とされていることです。

 「十分に尊重」という文言の解釈はあいまいなようですが、法律制定時の衆議院の
委員会答弁で当時深谷通産大臣が「同意がなければ先に進めないという意味だ」と
いう趣旨の明確な答弁をしており、知事や市町村長の同意がなければ調査地区の選定
はできないというのが現実です。

 ですから、国有地や国立公園という要素は、土地の権利関係がわかりやすく、かつ、
土地の取得が比較的容易であろうと思われるという利点はあるかもしれませんが、それ
以外には調査地区の選定にあたってあまり意味がなく、むしろ、従来の国内外の知見に
照らしてみると、地元の公式の同意がない状態での立地申し入れ・選定方式は後々大い
なる禍根を残し、プロジェクトが後戻りできない段階に至って頓挫するリスクをもたら
すと判断されることから、NUMOでは(関係諸氏にはきわめて回りくどくまだるっこ
しいように思われることでしょうが)、H14年12月以来全国の市町村を対象に最
終処分施設の設置可能性を調査する地区の公募を行っているものと理解しております。

以上は、私個人の解釈によるものであり、国及びNUMOの公式見解とは若干異なる
可能性がありますので、その点ご留意ください。
 
(ハンドルネーム:「ゴマメ」)