050523  最近の韓国の原子力研究開発活動状況: 松井一秋氏の報告
 
昨日拙稿を供覧しましたが、これに対するコメントと、最近の韓国の原子力研究開発活動状況などについて、松井 一秋氏(エネルギー総合工学研究所研究理事)から次のような興味あるメールをいただきました。ご参考まで。
--KK
 
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ご高説、全く同感です。インド、ベトナムは多分喫緊の必然性があると思いますが、主として中国包囲網的にインドネシアとか、フェーズは異なると思いますがロシアとかも視野に入れておくべきではないかと思います。
 
先週韓国にてのICAPP05に出席しておりましたが、近藤委員長の講演に対し、フロアから再処理コスト高にもかかわらずリサイクルを進める理由を問う質問、さらには北朝鮮が核実験を強行した場合の日本の原子力政策についての質問などがあったことが特徴的でありました。
また、以下のような所感を持ちましたが、これは全く個人的なもので、いくつか誤解もあるのではないかと思いますが、ご参考まで。
 

1.韓国は19基もの原子力発電所を稼動させ、バックエンドを除き核燃料も含めおおむね原子力技術の国産化に成功し、海外展開を視野に入れている。炉としてはすでに実績のある100万kW、SYSTEM80+の韓国版、と2012年には運開予定のAPR1400(APWRと類似)の2種類。

2.釜山近郊のDoosan重工は現在フル生産を続けており、産業としての能力は侮れない、あるいはすでに追いつかれた。

3.研究開発では、高温ガス炉と水素生産技術開発については、まだ相当のギャップがあると思われるが、ここ15年程度に約1000億円相当、1billoinUS$の計画を開始しており、本年は約8億、来年は倍以上投入とのこと。原研が本格的な協力については躊躇しており、KAERIは協力あるいは教示の相手としてプレゼンの中で原研を示さなかった。(この件直接講演者に確かめた。原研としては協力のメリットはないと思われる。)

4.高速炉についても、KALIMER-600という金属燃料使用の、S-PRISMもどきのコンセプトを開発中で、乾式再処理については、日本側のからの情報提供によりかなりの規模の設備を完成させている。これは廃棄物処理合理化ということで進めているようだ。

5.超臨界圧試験用のループもKAERIに最近できている。

6.鉛ビスマスループもソウル大内に作り、今回、17日午前に完成式を執り行っている。

7.全般的にはキャッチアップ段階で、解析、コンピューターを使っての仕事やプレゼンはお上手といったところ。中身、実験や技術開発そのものはまだ未知数のところが多いのではないか。

8.対してわが国を見ると、人材、施設も豊富だが、短長期を問わず目標を見失い、研究・技術開発の戦略に欠けているといわざるを得ないのではないか。世界はわれわれの動きを見ている。

 

以上、拙速ながらご参考まで。  

 

     松井 一秋

 

 

-----Original Message-----
From: Kumao Kaneko [mailto:kkaneko@eagle.ocn.ne.jp]
Sent: Sunday, May 22, 2005 6:33 PM
To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp;
Subject: 拙稿供覧(金子熊夫050522)