◆返還低レベル施設、六ケ所建設へ
    (東奥日報  2005.01.27)

 使用済み核燃料の再処理委託に伴い海外から返還される低レベル放射性廃棄物について、電気事業連合会(会長・藤洋作関西電力社長)は、二〇一三年度からの返還輸送開始を想定し、最終処分地に搬出するまで六ケ所村で貯蔵管理するための施設を〇九年度に着工する−などとする事業計画をまとめた。二月十日から始まる原子力委員会の新長計策定会議での放射性廃棄物に関する議論を踏まえ、県と同村に了解願を提出する。

 国内の電力会社が英仏の再処理工場に再処理を委託した使用済み核燃料は約七千百トン。再処理の過程で発生する廃棄物は核分裂生成物の大部分を含む高レベル廃液を固めた「高レベル廃棄物」と、これ以外の「低レベル廃棄物」に大別される。

 低レベル廃棄物は(1)せん断した燃料被覆管や燃料集合体の末端部分など(2)放射能レベルの低い廃液や沈殿物(3)施設から出る水や空気からの放射性物質除去に使ったイオン交換樹脂やフィルター(4)保守作業や機器の取り換え作業に伴い発生した機器、紙、布など−の四つに分類される。

 英仏は、これら返還低レベル廃棄物を圧縮して容器に収納したり、アスファルト固化した上で、一三年度から二二年度にかけて日本に返還輸送する方針だ。

 このため電事連は、日本原燃の事業として、廃棄物貯蔵管理施設を〇九年度に着工する予定。一二年度完成を目指す。最終処分地へは三五年度から四五年度にかけて持ち出す予定。

 建設費は、仏核燃料会社からの返還分貯蔵施設が七百億円、容器の形が違う英国核燃料会社からの返還分貯蔵施設が六百五十億円の計一千三百五十億円の見込み。

 ただ、英国核燃料会社は同等の放射能レベルに換算した高レベル廃棄物ガラス固化体に置き換えて単一返還する方法を日本側に提案している。単一返還の場合、英国からのガラス固化体の返還量は約八百五十本から約一千本になる。

 国の原子力委員会事務局によると、単一返還の是非については、新長計策定会議でも議論される見通し。

 電事連幹部は「策定会議で返還低レベル廃棄物の扱いに関する方向性が出てから、貯蔵管理施設建設について県と六ケ所村に説明し、理解を得たい」と話している。


<84年に提示済み>

 日本原燃広報渉外室の話: 返還低レベル廃棄物の貯蔵管理については、電事連が一九八四年七月に県、六ケ所村に示した事業内容に含まれており、高レベル廃棄物に引き続いて返還されるものと認識している。ただ、具体的な仕様や返還時期については電気事業者と海外の再処理事業者との間で協議中と聞いている。