050627  Re: 石井吉徳氏の 「石油ピーク説」に異議あり : 一本松幹雄氏の再反論

 
石井吉徳氏(東大名誉教授)の「石油ピーク説」(豊かな石油時代が終わる)に対し、先日(6/6)一本松幹雄氏(若狭エネルギー研究センター)から反論が寄せられましたが、同氏から再び次のような反論を送っていただきました。毎度申し上げますように、これは日本にとっても極めて重要な問題でありますので、この石井・一本松論争に、なるべく多くの方々が参入されますよう期待します。匿名での配信もお受けします。
ご参考まで。
--KK
 
***********************************************************************************
 
 
 

石油ピーク接近説について (続) 

 

一本松 幹雄

 

 

先般石井徳教授の「豊かな石油時代が終わる」や「石油ピークは今日か、じき近の時期に起る」につき、異論提起しましたが、このテーマについて附加情報提示したく思います。

 

(1)アメリカ中国、インドなどで石油輸入増加しつづけており、2030年の世界石油需要予測(1億2000万バレル/日−IEA予測、1億4000万バレル/日−IMF予測)が正しければ、それだけ供給力を増強するのは困難と見られ、石油需給はひっぱくすると見られる点は石井教授同意見です。

 

(2)しかし、歴史に見て、石油ピーク説は過去何回も、くり返し報じられました。1951年、アメリカで大きな注目を集めたパトナム・レポートではアメリカ石油生産のピークは195355年ごろとされていました。1977年ごろ、アメリカでも日本でも、石油生産のピークは1990年ごろという予測支配的でした。1977年、アメリカのCIAは旧ソ連の石油生産1980年ごろピークを迎え、その後は減少していくとの予測発表しましたが、今日から見ると、全くの誤まりでした。

 

(3)当面石油供給力は増大するとの予測もある。

アメリカ有力石油問題研究のD.ヤーギン氏は「今後数年間、市場大量追加供給がある」と予測し、有力地域として旧ソ連及びカスピ海、中東、西アフリカでそれぞれ700万バレル/日 程度追加供給があるだろうと指摘している。同氏が代表のCERA(ケンブリッジ・エネ研)では去る620日、「世界石油2010年までは供給力が需要を上まわる」との予測発表しました。

 

(4)サウディ・アラビア石油生産能力について、今日程度限界ではないかという意見もありますが、増産可能という見方が強く、ヌアイミ石油鉱物資源相は2009年には供給能力1250万バレル/日 にすると言明しています。

    サウディでは、近年資源開発のための投資を控えていたが、投資を進めようというムードがおこりつつあると伝えられます。

 

(5)ガワール油田老化、水功法の強化懸念について

ガワールは56もの巨大油田地底では同じ油脈だとして、ガワールと総称されているもので、 500万バレル/日もの生産をしている過程で、水攻法など、いろいろの2次回収法をとっている。近年の生産量はコンスタン状況で、いちがいに老化しているとは言えないという意見があります。

 

(6)サウディ・アラビア石油生産について悲観論をとなえるシモンズ氏とヌアイミ石油鉱物資源相とが0411月、サンフランシス討論したが、参加の間では、ヌアイミ氏の見解支持する反応が強かったと伝えられます。

なお、シモンズ氏が先日、サウディの没落をテーマに「Twilight in the Desert」という本を刊行しました。

 

(7)サウディとアメリカとの関係01.9.11アメリカ東北部でのテロ事件以来不協説が高まっているが、アメリカ、サウディ両国政府とも友好関係基本には変らぬと判断しており、先日ブッシュ大統アブドラ太子とがアメリカ会見して、両国間の友好関係確認したところです。

 

 

以上

 
 
 
----- Original Message -----
From: Kumao KANEKO
Sent: Monday, June 06, 2005 5:18 PM
Subject: EEE会議: 「高く乏しい石油時代」説に異議あり : 一本松幹雄氏の意見

皆様
 
度々当EEE会議で話題になっておりますように、「オイル生産はピークを過ぎており、高く乏しい石油時代が始まる」との見方(その最も雄弁な提唱者は石井吉徳氏=東大名誉教授)は昨今、我が国でもかなり有力になってきているように思われますが、この説に対し、一本松幹雄氏((財)若狭エネルギ研究センター、元関西電力、元IAEA)から次のような異論が提出されました。ご参考まで。
反論、異論、賛成論など大いに歓迎します。匿名でも結構ですが、できるだけ実名でどうぞ。
--KK
 
*************************************************
 
 
                 「高く乏しい石油時代」説に異論
                                                        (財)若狭エネルギ研究センタ
                                                                一本松 幹雄

 

「高く乏しい石油時代がくる」という石井徳教授の警告各方で報じられておりますが、この問題についてのアラムコ(サウディ・アラビア国有石油会社幹部見解をお伝えしたいと思います。

 

 私は国際石油資本根拠と言われるニューヨーク8年余勤務し、アメリカ石油関係とよく交流していた経験、サウディ・アラビアのアブケイク、ガワール油田近辺2回にわたり見学した経験もあり、その予備知識にもとづき、アラ