送信者: "Kumao KANEKO" <kkaneko@eeecom.jp>
件名 : EEE会議(イラク石油利権問題が決着?)
日時 : 2003年5月24日 8:19

各位殿

国連で揉めていた対イラク経済制裁決議解除決議が昨日安保理でやっと採択されたま
した。これでイラクの石油利権をめぐる米英対仏露の対立に勝負がついたようです。
ご参考までに次の分析を。
KK

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◆米、安保理新決議でイラク産石油を正々堂々と手中に◆
                           (2003/05/24)

 「国連査察団の役割を守ることができた」(ドラサブリエール仏国連大使)
「理事国の要請をすべて満たしてはいない。妥協の産物でしかない」(ブロイ
ガー独国連大使)―。すったもんだの末、国連安保理は5月22日、米英の石
油管理を事実上容認した対イラク経済制裁決議解除決議を採択した。

 これにより、1990年のイラク軍クウェート侵攻直後に発動した対イラク
経済制裁は、今決議の採択により13年ぶりに解除され、旧フセイン・イラク
政権の懐に多大のカネを還流させるだけの結果に終わった「石油と食糧交換プ
ログラム」(1995年4月に国連安保理が決議986号として採択)もその
役割を終える。

  95年4月14日、国連安保理は、湾岸危機、第1次湾岸戦争に伴う経済
制裁を一部解除し、人道目的の食料輸入目的に限ってイラク産石油の輸出を認
める安保理決議986号を採択。だが同プログラムは、旧フセイン政権が取っ
た石油を売却する相手を巧妙に選択するという狡猾な戦術により有名無実化。

 米英に敵意を燃やし続けた旧フセイン政権は、同プログラムを逆手に取り、
契約先にロシア、フランスの石油企業を真っ先に選択。イラクの石油はガソリ
ンなどに精製がしやすい軽質油。決議986号は、石油価格を市場価格よりも
低く設定してあるが、第3国経由となると値段は当然高くなる。が、少々高く
ても、質がいいため世界中から引き合いがくる。

 そしてその最大の顧客が米国だった。ロシアの場合、その6割が米国向けに
輸出されているとされていた。今決議で、米国は正々堂々とこれができるよう
になったわけだ。

 信頼できる情報を総合すると、旧フセイン政権時代に結ばれたイラクとの石
油供給契約は、今決議にその契約履行がうたわれていないことから無効となる
いわれる。米英の管理する「イラク開発基金」が、確認埋蔵量世界第2位を誇
るイラク石油の輸出に目を光らせ、そこから得た収入の分配を監視するわけだ
から、当然と言えば当然だ。

 イラク戦争に反対した仏ロは、からくも国連査察団の活動再開を決議に明記
することでメンツを保った感じだ。(了)

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  国際情報ファイル・深層海流主幹 石川純一(文責)
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