EEE会議(最新の原子力関連情報)............2003/7/11
皆様
 
最新の原子力関係情報をいくつかお届けします。これらは国内ではすでに広く報道済みですが、海外在住の方々のご参考までに。情報提供者は林 勉氏(エネルギー問題に発言する会)です。--KK
 
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<エネルギー基本計画:原発、引き続き推進 安全確保前提に>
 
 政府のエネルギーの需給全体に関する施策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の原案が10日明らかになった。計画は、原子力発電について安定供給や地球温暖化対策の観点で優れていると指摘し、「安全確保を前提として、基幹電源と位置付け引き続き推進する」と明記。核燃料サイクル確立に向けてプルサーマルを着実に進めるとしている。政府は地方公聴会などを実施した上で、9月にも同計画を閣議決定する。
 同計画は、昨年制定されたエネルギー政策基本法に基づき、今後10年程度を見通してエネルギー需給に関する政策を総合的、長期的に進めるため策定する。原子力研究開発利用長期計画など分野ごとの計画・政策を束ねるものと位置付けられる。
 同計画は基本方針として、(1)エネルギー安定供給(2)環境への適合(3)市場原理の活用――の3点を列挙。安定供給を確保するため、石油などの輸入エネルギーの供給地域の多角化、燃料電池など新エネルギー開発によるエネルギー源の多様化、石油などの備蓄確保、省エネルギーによる消費抑制の方向を示した。
 原発については、安全確保を前提に引き続き基幹電源と位置付けた。さらに核燃料サイクルを確立するためプルサーマル推進し、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定と施設建設に向けて努力するなどとしている。
 また、使用済み核燃料の再処理や廃棄物処分などの「バックエンド事業」の投資負担問題について、官民の役割分担を整理した上で04年末までに制度整備など必要な措置を講じる。[毎日新聞7月11日]
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<浜岡原発と東海地震は脅威 米地質学者、危険性を警告>

 米国人地質学者で、劣化ウラン問題の専門家でもあるローレン・モレ氏が10日、静岡県庁で記者会見し「浜岡原発と東海地震は最も危険な2つの脅威だ」と述べ、東海地震が発生した際に、震源域内にある中部電力浜岡原発(同県浜岡町)で起き得る災害の危険性を警告した。
 9日に同原発とオフサイトセンターを見学したモレ氏は「浜岡原発の一帯は岩盤が軟らかいだけでなく、至る所に断層があった」と指摘。
 さらに、津波の危険性にも触れた上で「今の耐震基準に合っておらず、地震発生時に炉心溶解(メルトダウン)が引き起こされた場合、漏れた放射能は地球規模で広がる」と話した。
 東海地震発生時の浜岡原発の危険性については、今月上旬に札幌市内で開かれた学会で、茂木清夫・前地震防災対策強化地域判定会会長や石橋克彦・神戸大教授が相次いで警告している。[共同通信 7月10日]

<夏の「電力危機」回避へ 東電福島第一6号機>

 福島県の佐藤栄佐久知事は10日、国が安全を宣言していた福島第一原発6号機(沸騰水型、110万キロワット)について、訪問した東京電力の勝俣恒久社長に対し、運転再開を容認した。平沼赳夫経産相が9日に「安全宣言」を出した柏崎刈羽原発4号機と合わせ、新たに2基が稼働にこぎ着ければ、真夏での関東地方の「電力危機」は当面、回避できる見通しとなった。
 東電は11日に福島第一原発6号機を起動させ、約2日で営業運転を始める予定。昨年8月のトラブル隠し発覚を受け、全17基が停止した福島、新潟両県の東電原発のうち3基目の運転再開で、福島県では初めてとなる。
 勝俣社長は佐藤知事に、福島第一原発4号機での部品落下ミスの報告遅れなどを謝罪。「協力企業を含めた迅速な情報共有を徹底する。安全最優先で透明性の高い発電所づくりに愚直に取り組む」と再発防止への姿勢を強調し、同6号機の運転再開を要請した。[共同通信 7月10日]