EEE会議(北朝鮮核問題:6カ国協議と不可侵保証ーー西原論文批判).....................................2003.8.15
 
北朝鮮核問題は、今月末北京で開かれる6ヶ国協議を控えて、甚だ微妙な段階に差しかかっております。最大のポイントは、北朝鮮が喉から手が出るほど欲している不可侵(non-aggression)の保証、即ち現政治体制維持(昔の日本式に言えば「国体護持」)の保証を米国がどのような形で北に与えるかでしょう。この点に関する小生自身の考えは、以前からたびたび公にしておりますように(1月12日つけEメール「北朝鮮核問題の抜本的解決法」、月刊「エネルギー」2月号巻頭論文など)、北朝鮮を武力で完璧に抹殺するのでなければ、結局のところ不可侵を保証してやる以外に北に核兵器計画を完全に放棄せしめることは不可能であり、従って、日本政府は、今後拉致問題解決に一定の進展が見られた暁には、米国政府に対して対朝不可侵約束を与えるよう説得すべきである、そして、そうすることがまさに「日本核武装」を回避する道に繋がると考えております。
 
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しかるところ、日本の防衛問題に関する代表的論客の一人である西原正教授(防衛大学校校長)は8月14日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿(英文下記の通り)において、北朝鮮が要求している米朝不可侵条約が締結される事態になれば、同条約と日米安保条約が矛盾をきたし、日本が北朝鮮による生物・化学兵器攻撃に対抗するため、「日本の核兵器開発を正当化することにさえなるかもしれない」と警告しております。6カ国協議直前に米国の有力紙に発表されたこの寄稿は、日本国内で政治問題化する可能性もあると見られます(毎日新聞8月15日朝刊)。

西原論文は、不可侵条約の危険について(1)条約の前提となる北朝鮮の核開発計画放棄の検証は困難(2)条約は在韓米軍の撤退につながる(3)沖縄でも在日米軍の削減や撤退の議論を起こす――と指摘。さらに北朝鮮が核計画を放棄しても、生物・化学兵器で日本を攻撃する可能性があり、その場合、米軍は不可侵条約のため日本を防衛できず、「日本は米国との同盟に頼れないので(北朝鮮への)報復として核兵器開発を決定するかもしれない」としています。

小生は上述のように、彼の意見には異議があり、近く反論を発表するつもりですが、皆様はいががお考えでしょうか。日本と北東アジア地域の安全保障上極めて重要なポイントでありますので、EEE会議でも大いに議論していただきたいと存じます。--KK

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