050228  田中角栄は何故失脚したか? その資源エネルギー外交から何を学ぶか?

 
エネルギー資源問題は国家・国民生存の基本に関わる重要問題であり、ある国のエネルギー政策は当然他の国の利害に影響を及ぼすので、昔から資源争奪が国際紛争の原因になっています。かつての大東亜戦争も、近年の湾岸戦争、イラク戦争にもその傾向は色濃く現れています。それだけに「資源小国」日本は、エネルギー外交を展開するに当たっては常に慎重な配慮が必要で、下手をすると足をすくわれ、痛い目に遭います。その典型的な例が故田中角栄首相のエネルギー外交ではなかったかと思います。前車の轍を踏まないためにも、我々は田中エネルギー資源外交をしっかり復習しておく必要があると思います。小生の個人的体験から言って、原子力・環境外交も大いに然りです。日本は決して「油断」すべきではありません。偶々手元にあるメルマガ情報(「国際戦略コラム」)から面白い話を2つご紹介します。ご参考まで。
--KK
 
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      田中角栄の外交とアメリカ
              〜独自の資源外交を展開〜

 資源小国日本にとって、資源の確保は最も重要な外交課題の一つで
ある。だが、資源外交を基軸にし、主体的な外交を展開した政権は
少ない。こうした中で、田中角栄政権は異色だった。

 田中首相は、1973年頃から、独自の資源外交を展開していた。
まず同年秋、仏、英、西独、ソ連を次々と訪問し、石油、ウラン鉱
石、天然ガス等の共同開発について議論している。同年11月には親
アラブ政策を打ち出している。翌1974年1月には、ASEAN5カ国
を歴訪し、インドネシアとの間で液化天然ガスプラント、石油基地
建設の建設協力で合意した。1974年9月には、メキシコ、ブラジル、
カナダを訪れ、メキシコ原油の開発、アマゾン開発、西カナダのタ
ールサンド開発について、それぞれ協議している。さらに、その翌
月には、ニュージーランドやオーストラリア、ビルマを訪ね、マウ
イ天然ガス開発やウラン資源の確保について合意している。 

 こうした田中首相の独自外交がアメリカ側を怒らせたという見方
は早くからあった。田原総一朗氏は、早くも1976年7月に「アメリカ
の虎の尾を踏んだ田中角栄」において、「ロックフェラー財閥に象
徴される東部のエスタブリッシュメント対メロン財閥を中心にした
ガルフ、テキサコ、ロッキードなど西南部の新興勢力の汚い内ゲバ
であり、新興勢力との黒い癒着で大統領にのしあがったニクソンを
血祭りにあげたのが第一幕で、現在その二幕目が展開されているの
だという」と書いている(『中央公論』)。

 また、1987年には、毎日新聞の嶌信彦記者(当時)が、「かつて
、わが国は、田中角栄元首相時代、独自の資源ソースの確立をめざ
した資源外交を着々と展開したころ、これがメジャーズ(国際石油
資本)を中心とする米国の資源のカサと衝突、一部で『日本は米国
の虎の尾を踏んだ』といわれ、田中元首相がロッキード事件に巻き
込まれた遠因ともみられている」と書いている
(『毎日新聞』1987年7月2日付朝刊)。

 1996年には、中曽根康弘元首相が、『天地有情―五十年の戦後政
治を語る』において、さらに明確に述べている。
 「田中君は、国産原油、日の丸原油を採るといってメジャーを刺
激したんですね。そして、さらに、かれはヨーロッパに行ったとき
、イギリスの北海油田からも日本に入れるとか、ソ連のムルマンス
クの天然ガスをどうするとか、そういう石油取得外交をやった。
それがアメリカの琴線に触れたのではないかと思います。世界を支
配している石油メジャーの力は絶大ですからね。のちにキッシンジ
ャーは『ロッキード事件は間違いだった』と密かに私にいいました」

独自のアジア外交を警戒?

 ただし、アメリカが嫌ったのは、田中首相の独自のアジア外交だ
ったとの見方もあるようだ。公明党元委員長の矢野絢也氏は[私の
角栄論]において、田中首相の「一種のアジア中心主義」が、アメ
リカに歓迎されなかったことを次のように示唆している。

 「田中氏は将来、日本がアジアでどう位置付けられるべきか、ア
ジアの資源と消費者としての人口を視野に置いた一種のアジア中心
主義が意識の底にあったと思う。東南アジア諸国連合(ASEAN
)へのアプローチも資源収奪などの批判から必ずしも歓迎されなか
ったが、この視点から見直す必要がある。
 そこには雪で象徴される土着性を背景にした日本という、氏なり
の座標軸があり、アジア意識があった。必ずしも対米一辺倒ではな
く、この面でも異端の政治家だったのであろう。氏がアメリカ発の
ロッキード事件で政治生命にトドメを刺されたのも、単なる偶然だ
ったのか、という印象すらある」
(『毎日新聞』1993年12月23日付朝刊)。

 生前、渡辺美智雄は、岩見隆夫氏に次のように語っていたという。
 「71年の頭越しの米中接近、その翌年の日中正常化。日本と米
国が相次いで中国と急接近していったことに、米国の保守派が非常
な危機感を持った。このままにしておくわけにいかないと、CIA
(米中央情報局)とFBI(米連邦捜査局)が手分けして、FBI
がニクソン元大統領を葬り、CIAが角さんを葬った。これは間違
いありませんよ。根は中国問題です」
(『毎日新聞』1998年11月23日付朝刊)。
http://park5.wakwak.com/~asia/japan/tanaka_kakuei.htm

 

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        資源外交の軋轢

日本の資源外交を行ったのは、田中角栄であり、日本の位置づけを
脱米国にシフトして、東南アジア(ASEAN)に接近した。それ
と同時に、脱米国を行うための準備として、石油資源を自前で確保
することを目指して、中東イランに石油開発協力を申し出た。

しかし、この石油を獲得する行動と、脱米国をするためにはアジア
で覇権を2分する中国を友好関係を確立する必要がありと、中国と
の友好関係を、米国が予想していたスピード以上に上げたのです。

このため、CIAがロッキード事件を仕掛けて、敢え無く田中首相
は辞任になり、それでも権力を保持したために、刑事事件にして失
脚させるのです。

この後、日本は資源は米石油メジャー企業から買うことになる、自
分で独自に石油開発をしていない。しかし、その日本にチャンスが
訪れている。燃料電池とハイデレードです。この2つを同時に手に
入れると、エネルギー確保が容易にできることになる。

日本は資源獲得競争をしないし、各国の競争になっている武器輸出
もしていない。しかし、この武器を売って欲しいと米国から言われ
る状態になっている。

現在、中国は資源を求めて、胡主席も温首相も積極的に外交をして
いる。それが中国の覇権を求める行動と見られて、米国等から大き
な反発を受けているのです。日本は反対にそのような行動を取りま
せん。高い石油を買っています。高い米国製武器も買います。しか
し、それが各国が生きれる共生の概念なのではないでしょうか??

中国も、世界の工場として、世界から資金を得ることと、資金を世
界に配るバランスを取る事をしないと、EUとも戦争モードになっ
ていく可能性があり、中国の世界的な行動を見る必要があると思う。

1人が全てを取ることは、世界の破壊になることを中国も気が着く
べきでしょうね。

日本は、資源節約技術、希少資源の代替を検討することで生きる余
地を見付けている。たとえば、銅線で作る同軸ケーブルから地球上
に無限大にある石英の光ファイバーで代替して、インターネットの
伝送速度を飛躍的に上げた。これは光ケーブルの値段が安価である
ためである。

石油が不足したら、プラスチックも不足するが、木質からプラスチ
ックができる。この置き換えも進めでしょうね。
 
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国際戦略コラム(No.1905)から。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/